〖エッセイ〗「LAST CONCERT。」
「中学校へ行ったら、吹奏楽部に入る。」
小学校6年生の娘が、そう言っていた頃が、つい昨日の事の様に思えます。
私達の住む地域では、4つの小学校が一緒になり、ひとつの中学校へ通います。
最初は、やはり友達が出来るかが、親としては一番心配でしたが、そんな心配は無用ですぐに、仲良し4人組が結成されました。
驚いた事に、4人共音楽好きで、揃って吹奏楽部へ入部しました。娘の出身小学校からは、娘ただ1人だけが吹奏楽部に入りました。
最初は、親同士もうまくやっていけるのか、心配でしたが、本当に皆さん良い方達ばかりで、親としても安心して、過ごす事が出来ました。
娘は、体験入部(3日間)、全て吹奏楽部に行ったそうです。
「やりたい、楽器はあるの?」
と聞くと、
「サックスがやりたい。」
と言って居ました。
どの生徒が、どの楽器を担当するのかは、現在2、3年生の受け持ちしている楽器や、人数を踏まえて顧問が決めます。
その年は、「アルトサックス1名」という話で、顧問にチェックされ、決まります。
ある日、帰ってきて、とても嬉しそうな顔で、
「アルトサックスに決まったよ!!」と報告してくれました。
我が家の事情で、最初からサックスを買ってあげる事が出来ませんでした。
最初は、学校にもアルトサックスが無くて、別の中学校の物をお借りして吹いていました。
それでも、娘は頑張っていました。
おそらく、部活を休んだ事は一度もないでしょう。
娘の中学校の吹奏楽部は、もちろん座奏もしますが、楽器を吹きながら移動する「マーチング」にも力を入れていました。
初めて、娘の吹く姿と動きのあるマーチングを見た時は、自分が音楽を全く出来ないので「すごい~!!」と思ってしまいました。
2年生の夏に、ようやく「自分のアルトサックス」を買ってあげる事が出来ました。嬉しそうで、楽しそうで。
そんな青春が、とても羨ましく思えました。
3年間で、本当に沢山の場所、場面で演奏をしてきました。コロナ規制で出れなかった大会や、休んでしまった仲間も居ました。
それでも、娘達の演奏は、いつも素敵で「あぁ、音楽っていいなぁ。」とその音色が、病気を患っている、私の生きる支えでした。
2年生の時のラストコンサートにて、正式に副部長を引き継ぎました。
先生からは「本当にしっかりと、皆を纏める力があって、助かってます。」と、お褒めの言葉を頂いた事もありました。
前置きが、長くなりましたが。
2024年10月19日(土)、3年生全員欠けること無く、「ラストコンサート(部活動引退コンサート)」を迎える事が出来ました。
市の文化センターを貸し切っての立派なコンサートでした。午後からのスタートで、娘は朝からリハーサルへ。
私は朝から、少し寂しさを感じながら今までの動画や写真を見返して居ました。
すると、役員さんからグループラインに、画像が届きました。マーチングの講師の方々から、お花が届いたとの事でした。
綺麗に咲き誇るお花に、感動してしまいました。
午後になり、主人と会場へ行きました。
もちろん、ハンカチ持参で…。
パンフレットを受付で頂いて目を通して居ました。途中休憩を挟みながらの3部構成になっており、13:30~開演しました。
何回着たか分からないくらい、沢山着たマーチングユニホームを着てステージに立つ娘達の姿。
一番初めの曲は、ドラマ「GOOD LUCK!!」より、
『Departure』でした。
この曲は、吹奏楽部に入り初めてのイベント、
「Seigi Ozawa記念パレード」に、出た時の思い出の1曲でした。
この、3年間娘が初めてサックスを持ちパレードする動画を何度も見返していました。
もう最初から、涙が…。
↑娘達の演奏では、ありませんが。
『Departure』の吹奏楽Version。
続いて、2曲続けてのマーチング演奏『DISTOTED』『DYNAMITE』
この2曲は、娘の吹奏楽部を代表する曲で、代々受け継がれ演奏されて来た曲でした。
懐かしさと慣れ親しんだ感覚とが、耳を伝い心に響きました。
続けて、『Queen Opener』は今年度から吹き始めた楽曲で、Queenのヒット曲アレンジでした。カッコいい!!
『学園天国』は毎年、ラストコンサートで聞きましたね。
『竜』は、引退後も最後の大会となる、『マーチングバンド関東大会(さいたまスーパーアリーナにて)』演奏する曲のオリジナルアレンジでした。もう1部だけで、涙がポロポロとこぼれてしまい、大変でした。
演奏の合間には3年生、1人1人から「思い出の出来事&やらかしエピソード」の発表があり、違う家の子ですら、泣き笑いしました。
休憩を挟み、第2部へ。
2部の最初は、去年の卒業生OG、OBの皆さんと一緒に演奏する『Shake it off』でした。
去年までお世話になっていた、テナーサックス、バリトンサックスの先輩も来てくださり、
先輩の横で演奏する娘を見て、嬉しいなぁと思いました。
その後は、吹奏楽コンクールで演奏した、課題曲と自由曲でした。綺麗な音色、迫力のある演奏。頑張って練習したんだろうなぁと。
『怪獣の花唄』は、今年の中学校の文化祭のテーマソングでした。好きな曲のひとつです。
『マツケンサンバII』も毎年、ラストコンサートの定番でしたね。盛り上りました。
ここで休憩。トイレへ行って気持ちを落ち着かせました。絶対、最後は泣いちゃうから!!
3部の始まりは、『2024年上半期ヒットメドレー』でした。これは、9月にあった文化祭でも、聴かせて貰っていました。
知っている曲、聴いたことあるあるな曲ばかりで、楽しく聴きました。
続いて『ジブリメドレー』3年生、14名によるそれぞれのソロがありました。
お馴染みのジブリの曲。
1人1人順番が来ると、立ち上がりスポットライトの下で演奏をしてくれました。
娘はたまたま、14人の中の一番最後の演奏順でした。あまり親しみがないかもしれませんが、「風立ちぬ」の挿入歌『旅路』の一部分をソロで吹きました。また、涙が…。←泣きすぎ。
次は3年生だけでの演奏。
ゆずさんの名曲『栄光の架け橋』でした。
これは、もう泣き確定!!
3年間の事を思い返し、泣きました。
「1年生の時の先生厳しかったね。でも、いい先生だったね…。」
「サックス吹き初めて2ヶ月程で、『HAPPY』のソロから、始まって『Mela!』『宝島』緊張しないはずないのに、毎回ソロをやってのける。時には失敗もしてしまう…。でも、偉いよな。」
「プライベートでも、演奏会や楽器屋さんに行く程の仲の良かった、先輩。可愛い後輩達。恵まれたね。」
【いくつもの 日々を超えて
辿り着いた 今がある だからもう
迷わずに 進めばいい 栄光の架け橋へと…】
ゆずさんは、いい曲作るね!
私はこの日『栄光の架け橋』をやるとは、知らずに、コンサートに行く前に、Instagramにて、講師の先生から届いたお花をUPしたんですが、その時たまたま、一緒に載せた楽曲が『栄光の架け橋』だったので、本気泣きました…。
ここで、今年度三役を務めた、部長、もう1人の副部長、娘からのコメント。
ただの、やらかしエピソードで3人でまとめて話して居たけれど、この3人並ぶ姿はこれが最後かと思うと、「一年間ありがとう」と思いました。
プログラム最後は『新宝島』でした。
ここ最近吹くようになりましたが、いい曲ですよね。涙を拭って聞きました。
曲が終ると、拍手が、アンコールに変わり。
ここまで、毎年そんな流れなんですが…
アンコールの曲は、お馴染み『宝島!!!』
これは、娘の中学校の吹奏楽部の定番アンコール曲です。たまたま楽譜上、「サックスソロ」があります。
サックスメンバーで、分担したり工夫して、ソロ部分を分けて吹きます。
娘は1年生の頃から2年までは前半部分のソロを担当。
3年になり、人数の関係か、後半部分半分づつ2人(テナーサックス、バリトンサックス)で吹いて居たソロを、1人で担当する事になり。
アンコール曲なので、普段の練習はほとんど無し。
今までに一度だけ、後半の長いソロを吹いたのですが、その時は、吹ききれず音が止まってしまった部分がありました。
今までで、一度も成功していない長いソロ。
アンコール曲で『宝島』をやると決まったのはなんと前日。
私は、失敗しても、頑張る姿が見たいという気持ちで聴いていました。
1人目のソロが終わり、娘がマイクの方へ近づきます。手のひらの汗を衣装で、拭って…。
吹き始めました。
『長いソロ、最後まで、止まる事無く吹き切りました!』
私は素人なので、成功したのか、失敗したのかは分かりませんでしたが。
いや…。最高にかっこよかったです!!!
めちゃくちゃ良かった!
最後の最後で、魅せてくれましたね!
さすがです!!よく、がんばりました。
別の保護者さんからも、「めちゃめちゃかっこよかった!」と言って頂けて嬉しかったです。
娘が吹いたものは、撮影禁止だったので、プロの方のものですが、YouTubeより載せさせて頂きますね。
https://youtu.be/jtSK7Hyeod0?si=1yIGdKA6CiFn2MOl
感無量で、終わったラストコンサート。
本当に3年間。素敵な思い出とメロディをありがとう。
『一音心奏~想像以上の音楽を~』
これが、今年度のスローガンでした。
11/9。さいたまスーパーアリーナにて、
『第59回マーチングバンド関東大会 中学生の部』が、部活動としては、本当に最後の演奏になります。
音楽が大好きな娘の、素敵な思い出となりますように…。母は、願うばかりです。
娘よ。
出逢えた仲間。
先生、保護者、先輩、後輩の支え。
掛けて貰った言葉。
励まし合った言葉。
忘れないで、これからも成長をして行ってくださいね。
ラストコンサートから、帰ってきた娘に感想を聞いたら、「途中で、集中力が切れて、結構間違えた!」と言って居ました。(笑)
「宝島は?」と聞くと、
「う~ん。成功といえば成功。あんなもんじゃない?だって宝島やるって、昨日言われたんだから!練習すらまともには出来ないでしょ!!」
と。
相変わらずクールな答えでした。
お疲れ様。
最後の写真に映る貴女の笑顔、素敵でした。
あなた達の「奏(かなで)」は、
私達の心に。
確かに「響(ひびき)」
ました。
🌹HAPPY END...🌹
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