見出し画像

禁酒に成功

初めて飲んだお酒はビール、20歳の時だった。初めてのビールは苦くて、「マズイ。なんでみんなこんなの飲むんだ?」というのが感想だった。それからはお付き合い程度で甘いジュースのようなお酒を好んで飲んでいた。

私はもともとあまりお喋りではなく、大人しい性格。何も話さないので「何を考えているのかわからない」「一緒にいてもつまらない」こういうことを何度言われただろうか。それが、お酒を飲むと、陽気でお喋りな面白い社交的な人に変身してしまうのだ。それに気付いてからお酒にハマってしまった。若かったし、外に出なければと思って毎週末飲みに出かけていた時期もある。

飲み会で楽しいお酒を飲んでいるうちはよかった。だけどだんだん、飲み会の前にテンションを上げたいからと、飲み会の前に一杯ひっかけるようになった。そしてだんだん家で一人で飲むようになった。

家で一人で飲むようになってからは悪い方にどんどん行ってしまった。仕事がうまくいかず、それを話せる友人もおらず、帰れる実家もなくて逃げ場がない状態だったので、辛い現実を忘れるために、毎日一人で泥酔するまで強い酒を飲んでいた。飲み過ぎで頭が働かない状態で仕事にいくため、さらに仕事がうまくいかない。人は誰も寄ってこない。辛くて仕事を辞めても、貯金もないし、実家にも帰れないのでまたすぐ働かなければならない。そして、働いてもうまくいかず、そのストレスでさらに酒に溺れるという生活を送るようになってしまった。

30歳が近づいてきたころ、鏡にうつった自分をみてギョッとした。目は血走り、顔色はなんだか黒ずんでいてシワシワ。身体はだらしなくたるみ、髪は白髪が目立つ。まだ30歳になる前なのに。自分の姿にショックを受けたが、それでもお酒は止められず、毎日一人で酔いつぶれていた。

何があったわけではないけれど、ある日突然、私はこのままでいいのか・・・?と思うようになった。お酒だけではなかったと思う。仕事やら生活やら色々と。セルフネグレクト状態で、部屋の掃除もまともにせず、ホコリまみれの部屋で泥酔する毎日。身も心もボロボロだった。ふと、病院に行った方がいいんじゃないかと思ったりもしたけど、薬処方されちゃったら酒飲めなくなるな・・・等と考えて病院には行かなかった。

いきなりお酒をやめるのは無理だったので、毎日飲んでいたお酒を2日に1回、3日に1回と徐々に減らしていった。身体もダルダルだったので、朝にウォーキングを始めたりした。いい方向に進んではいたけど、嫌なことがあると飲みたい衝動が抑えられなくて連日飲んでしまうことも度々あった。

なんだかんだと色々あって一進一退を繰り返してきたけれど、ここ半年お酒を飲まない生活ができている。禁酒に成功したっぽい。成功した一番の理由は年齢による体の衰え。二日酔いが死を覚悟するほどエグい。動悸はするし、なぜか全身筋肉痛になるし、ダルくて動けなくなって寝込む。若い頃に飲み過ぎたせいだろうか。生活が落ち着いてきたというのも大きい。在宅で仕事ができるようになってから、人間関係の悩みから解放された。給料は激安だけれども、なんとかやっている。

お酒を飲んで社交的な人に変身し、楽しい時間を過ごせたのは今でもいい思い出だ。辛い時、そばに寄り添ってくれたのは、よく考えてみたら酒だ。酒よ、ありがとう。

もう卒業します。


いいなと思ったら応援しよう!