三題放詩⑥
三題噺スイッチというサイトで、ランダムで表示されたお題を使い制作した詩の第六弾。
与太郎稼業(お題:ひな鳥、与太郎、物語)
親とはぐれた
ひな鳥の
悲しく哀れな
物語
生きてく術は
他者を騙して
食いぶち稼ぐ
与太郎稼業
嘘八百を
並び立て
大風呂敷を
広げて垂れた
ひとり渡世を
過ごしてく
親無しひなの
無頼旅
毒草を食む(お題:毒草、投げる、時計)
懐中時計の
仕掛けの音を
耳に押し当て
聴いてみる
どこか寂しい
音が聞こえて
ポカリと空いた
心に染み込む
悲しみくれて
命を投げる
毒草 食(は)んでは
静かに呑み込む
砂漠に育つ(お題:砂漠、天女、豆(種))
砂漠のような
果てない世界で
充ちぬ心が
囚われた
立ち尽くしては
変わらぬ空を
見上げて過ごして
日々を送った
頬を濡らした
雫がひと粒
種へと変わって
砂漠に落ちた
種は涙で
緑を育み
覆うばかりの
大樹を成した
大樹を見つけた
天女がひとり
微笑み浮かべて
舞い降りた
それ見た私の
乾いた心は
潤い満たされ
歩みはじめた
待ち合わせ(お題:黄葉、爪、城(砦))
爪に描いた
赤いハートに
願いを込めた
ある日の夕暮れ
約束までの
わずかな時間を
ひとりで歩く
並木道
木の葉が散って
黄色く染まった
路面の幾何学
目で追い向かう
人の流れを
避けて目指した
あなたと待ち会う
古城の公園
二人寄り添い
静かに眺めた
眼下に広がる
電飾の世界
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