
『小学校~それは小さな社会~』_その2【子育てと教育】
とにかくたくさんの人に観てもらいたかったので、前回は「ぜひ観てください!」とだけ書きました(笑。
あまりにも多くの感情があふれ出したので、今回は全体的な感想を書きたいと思います。
(うっすらとネタバレを含みますので、内容を知りたくない方はここでストップ!)
##小学校それは小さな社会
とにかく感情が揺さぶられまくります
私は、映像関係の仕事をしているわけでも何でもありませんが、カメラアングルが実に素晴らしいと思いました。
子ども達目線で映し出されるスクリーンから、あの時の自分を追体験します。
また、先生たちの後ろ姿や通勤姿。
その愛情の深さと熱量に涙が出ます。
加えて、子どものつぶやきもはっきりとおさめているクリアな音声。
気分はすっかり、隣で見守る親。
シンバルに取り組む2年生
縄跳びを練習する6年生
「よくがんばったね」と心の中で何度も声をかけておりました。(内容について、また別途)
この、「カメラアングルと音の素晴らしさ」のおかげで、
①不安と楽しさの中で過ごした小学校時代を追体験させてもらいつつ、
②時に親としてスクリーンに映る子どもを励ましたり歓喜したりして、
99分間、とにかく感情が忙しく揺さぶられっぱなしでした!
子ども目線から振り返るコロナ禍の小学校
わたしの長男は、コロナで世の中が麻痺した最初の年である2020年4月に小学校に入学しました。
そのため、コロナ禍での子ども達や先生方の様子はそれなりに知っているつもりでした。
子どもの口から飛び出す「ソーシャルディタンス」という言葉
先生や子どもたちが着用するフェイスシールド
校歌は黙唱(そんな言葉があるか?)、給食は黙食
お喋りのない怖いほどに静かな5分休み
今書いていても、息苦しさと健気さに涙がこみ上げます。
当時から知っていたそれは、あくまでも第三者の目線からだったのだと気づきました。
スクリーンに映し出される子どもたちの目線で観る風景は、現実味が何十倍にも膨らみます。
長男、よくぞあの中で頑張ったな。
入学早々からものすごい緊張感の中で過ごし、以降も学校という社会でよく頑張っているなと。
緊張するだろうな、疲れるだろうな。
時には、何もなくても「よく頑張ってるね」と声をかけてあげたくなりました。
小学生にとっての「先生」という存在
子どもにとっての「先生」という存在も肌感覚で追体験しました。
小学生のころ、自分にとって「先生の存在は絶対」でした。
学校生活が楽しいものとなるか苦しいものとなるかの運命は、正に担任の先生次第。
現在5年生の長男。
担任の先生に関して、耳に入るのは残念ながら悪い評判ばかりです。
納得いかない理不尽なことが多い状況を改善すべく、生徒たち自らが校長先生に直談判に行った、なんてことも起きています。聞けば、その先生のクラスは毎年そのようなことが起きているとのこと。
「先生は絶対」という世界線の中で、息子よ、お前も大変だな、よく頑張っている!
ナレーションがない、ということ
ナレーションが全くないことも、とても効果的でした。
日本の公立小学校教育を全く知らない人に対しては何かしらのフォローが必要かもしれませんが、行われているすべてのことが私には理解できました。
逆に言うと、私が受けた小学校の教育は、40年経った今もほとんど変わっていないということです。
(約40年前(!)、世田谷区の公立小学校に6年間通いました。)
それが良いことなのかどうかは別として、変化の速度が著しい現代において驚くべき事実であることには違いありません。
ナレーションがないことで、観客はそれぞれの解釈で作品の世界に入り込めるのだと思います。
国際色豊かなスタッフと考える日本の未来
エンドロールでは、国際色豊かなスタッフに驚きました。
監督ご自身、中学校からインターナショナルスクールへ行き、その後は国際的な環境に身を置いているためでしょうか。
現在も国際色豊かな人々に囲まれているのかもしれません。
また、そういうスタッフだからこその、この描き方なのかもしれません。
一般的に、日本の教育を語るときは批判的に語られることが多くないですか?
「日本、大丈夫か?」と。
この映画を観るまではわたしもその一人でした。
北欧に住む家族から現地の教育事情を聞くと、日本の公立小学校に通う子どもたちの日常的な出来事に、結構な頻度で落胆しています。
ところが、監督のインタビューなど拝見すると、小学校生活を批判的に描こうとしているわけではないことを知ります。
日本人が当たり前にやっていることは当たり前じゃないんだよと語り、むしろ好意的な部分も感じます。
いま、小学校を知ることは未来の日本を考えること
「考えること」
まさにその通り。
この作品は、考えるきっかけを与えてくれました。
「子ども達が6年間、毎日受け取り続けるこの日々をどう捉えますか?」
鑑賞後、観た人の心の中でそれぞれに動き始めると思います。
※追記📝 自分にとっての小学校を深掘りしました。
あふれ出す個人的な感情もこちらに言語化しました👇️