なぜ今、小田原の会社が「パーパスデザイン」に取り組むのか?社長に聞いてみた。
皆さんは、会社のミッションが何のためにあるのか、考えたことはありますか?また、日々の業務の中で意識して仕事をしていますか。
Hameeは2020年6月にミッションをリニューアルしました。私たちの目指すゴールを改めて再定義し、そのミッション達成に向けてカルチャー作りも加速させていこうと現在取り組んでいます。
新ミッション:クリエイティブ魂に火をつける
ミッションのリニューアルは会社にとって大きな変化です。改めて考え直すことは時間もかかるし、社内の反応も様々。また変えて終わりではなく、社員一人ひとりの意識や行動まで繋げる過程では、大小さまざまな摩擦が起こるだろうことは容易に想像できます。
それでも、なぜ今、ミッションのリニューアルを行ったのか、樋口社長にインタビューしました。
なぜ今、パーパスデザインに取り組んだのですか?
「少し前は分かりやすい「正解」があって、そこに向かえばよかったんです。Hameeなら、売上! 上場! ……とかね。でも会社の成熟、VUCA、コロナといった変化の激しい今では、分かりやすい1つの「正解」よりも、一人ひとりがリーダーシップを発揮し「正解」を求めなければいけないと考えています。でもみんながバラバラの目的でリーダーシップを発揮したら、組織としての力が発揮できずに、烏合の衆となってしまう……。
そこで、全員の共通目的=ミッションが重要だと考えました。
VUCA時代
変化が激しく(Volatility)、不確実で(Uncertainty)、複雑(Complexity)、曖昧な(Ambiguity)、きわめて予測困難である時代。
いつ大雨、大嵐がくるかわからない。
と言っても、一人ひとりの動きを紙に書いたルールでがっちり縛っていたのではリーダーシップは発揮できない。ミッションを再定義し、カルチャーを統一することでリーダーの自律的な判断を助け、カルチャーの共有が心理的安全性を高め仕事をやりやすくする。そういった土壌がイノベーションの種を生むと思っています。
(ルールを減らしていくのは別次元で進めることで、ルールは大事です。守りましょう。)
そのためカルチャーの統一、さらにはイノベーションが起きるようなカルチャー作りは、早急に取り組まなければならない組織課題だと判断しました」
VISION(未来像)として掲げたクリ魂は、なぜ浸透しなかったのでしょうか?
「以前は『クリエイティブ魂に火をつける』はミッションではなく、VISION(未来像)という位置づけでした。 そして『クリエイティブ魂に火をつける』に至った自分の思考までもできるだけ共有したいと考えていたのですが、それがHameeで働くみんなの理解を難しくしていました。例えば「宇宙」とかの言葉を説明に使っていたのですが、みんなにはあまりうまく伝えたいメッセージとして届けられていませんでした。
2016年に語られた「Vision(未来像)」では、宇宙の誕生までイメージが広がっている。
わたしたちは happy mobile, easy e-commerce を掲げて「世界中のモバイルユーザーに驚きを。ネット通販をもっと簡単に。」そんな理想を目指しています。
その中でわたしたちは、ひとつの結論にたどり着きました。「クリエイティブ魂に火をつける」というこたえです。
宇宙誕生以来の進化の最先端にいる私たち人間は、無限の可能性を持っています。
思い出してください。自由な発想で、みんながクリエイターだった子どもの頃を。
誰だってクリエイティブな魂を持っている。
つまりわたしたちの本当の仕事は、決められたルーチンをこなすことではなく、新しい、まだ見ぬ何かを考え、そしてつくること。
ITによる自動化で、心も身体も自由になったわたしたちなら、クリエイティブな炎が燃え上がってくるはずです。
そして、世界中のモバイルユーザーを驚かせ、そのクリエイティブ魂にも火をつける。そんなプロダクトだって、わたしたちならつくれます。
もう行く先は見えています。あとはもう、進むだけです。
世界中のEC企業が、わたしたちを待っています。Hameeと同じようにルーチンを自動化し、魂の入ったモノを生み出していくことを。
そうです。わたしたちHameeのつくる自動化で、世界中にクリエイティブの輪が広がります。
「クリエイティブ魂に火をつける」これこそが、One Hameeでつくる ”e” 世界です。
全社に向けて発表するものは、いつも1人で作って、発表するまで内緒にしていました。サプライズでみんなを驚かせたかったし、笑いも取りたいし。楽しいほうがいいでしょ?
でも、驚いてくれない。自分の話し方が面白くないのが良くないと思って、実は半年ほどお笑い講座を受けたりもしていました。その時はちょっと笑い取れるようになった気がしたけど、最近はスベリがち」
今回のミッション・ステートメントは、これまでと何が違いますか?
「根っこにある、目指しているものや言いたいことは、実はずっと変わっていないです。
今回変わったのは、ミッション・ステートメント作成のアプローチ 。
自分は表現が下手で、伝えようとする過程で行き違っていることがあるし、考えている過程を共有してフィードバックをもらうことで、もっといい考えがあると気づけることがわかりました。
いろいろな人の叡智を集結したものの方がよかった。どうすれば伝えたいことがより伝えられるか、みんなの知恵を結集するやり方を知りました」
意識的に、デザイン思考を取り入れようとしたのですか?
「気がつけばデザイン思考で作っていた、という方が近いです。
今回のミッション・ステートメントは、何度も人に見せて、フィードバックをもらって作り上げていきました。並んでいる文字の半分以上が、Hameeの仲間たちから言われた表現です。いいなと思ったことはそのまま反映したり、そこからさらに発想したものを入れました。
フィードバックをもらったのは、取締役・執行役員・カルチャー作りを加速させていこうと集まってくれたHameeのメンバーたちです。
はじめは取締役だけに相談するつもりでしたが、やっているうちにもっとたくさん巻き込みたくなっちゃって。だんだん火がついていきました。最後の方は、だいぶ細部にこだわっていたので、聞かれているみんなは前回のプロトタイプとの違いが分からなかったかもしれないです。(バージョン管理しっかりしとけば良かった)
何より、みんなが忙しいのに反応してくれたこと、本音で話してくれたことが嬉しかったです」
プロジェクトメンバーからのフィードバックと、社長の対応
2020年4月、取締役・執行役員で練ったミッション・ステートメントのプロトタイプが、ボトムアップPJメンバーにも共有された。
プロトタイプを見たメンバーは、「バックヤードがないがしろにされている感じを受ける」「長い」「しっくりこない」「今までと大きく変わったという印象は無い」「わかりやすくしたはずなのに、解釈が難しい感じになってしまっている」「自分事にしづらい」等々、かなりストレートに感想を伝えた。
そんなメンバーに対し社長は間髪入れず「もう少し具体的に話を聞きたい」と自らミーティングの場をセッティング。この時の意見交換から得た気づきも、最終稿に取り入れられている。
みんなに好き勝手言われて、嫌になりませんでしたか?
「多少はあるけど、たくさんの人に何度もダメだしもらっているから、1個1個のショックは小さいです(笑)。意見が尽きないことについても「まだここか~」という感じはあったけど、苦痛ではありませんでした」
社員に一番伝えたいメッセージは何ですか?
「それはミッション・ステートメントに込めました」
ミッション・ステートメントを社員1人1人きちんと理解する、自分事化する。そうするとHameeはどんなふうに変わっていくと思いますか?
「すごい、いい会社になってる。外の人も中の人も、みんなHameeのことが大好き。会社自体がプロダクトになってる感じかな」
ミッション・ステートメントを社員1人1人に浸透させていくために、社長がご自身で取り組まれていることはありますか?
「採用面接で、いきなりクリ魂についての話や質問を、前振りもなく普通にはじめる。それで引かずに、共感してくれる人に来てもらうってことをやっています。
既存社員には何度も繰り返し、いろんな方法で伝える。以前には行動指針にしていたけど、強制的な感じは違和感があるのでもう載せていません。挨拶やすれ違いざまに言葉を交わすことも、小さい事だけど大事なことだと思っています。自然に、相談しやすい空気があることが大事かなと。知らない人が言ってるミッションなんて、共感できないでしょ。そこから新しいアイデアが生まれたりも。
コロナ時代には、また違ったコミュニケーションも必要だけどね。」
いろいろな会社が、ユニークなミッションを掲げています。正直、仕事内容は変わらないかもしれません。だからこそ、なぜ『Hamee』を選び、そこで働くのかを考える一つの指標となるのはミッションです。
Hameeは燃え盛るクリエイティブ魂が、世界をより良くすると信じています。
そして信じて集まってくれた仲間と共に、さらにクリエイティブ魂に火をつけてイノベーティブな挑戦をし続ける会社であり続けたいと思っています。
皆さんは何を信じ、何を実現したいですか。