人事必見!とある地方企業が、地元「小田原」を推して、採用の強みに変えた話
「地方企業の採用」と聞いて、どんなイメージを受けますか?
一般的に、”都内企業に比べて地方採用は難しい”といわれています。
就職・転職を考えている方のうち、都内在住 or 都内希望!という方が圧倒的に多いためです。
(リモートワークが常態化している今も、まだこの傾向は強いそうです)
私たちHameeも、「地方」が採用の課題になっている時期が長らくありました。(駅伝で有名な箱根のお隣「神奈川県小田原市」に本社があります♨)
今回は、そんなHameeが「地方」を弱みから強みへと変えていった軌跡を書いていきたいと思います。
地方企業の人事担当の方、地方での働き方に興味がある方など、ぜひ読んでもらえたら嬉しいです!
地方だから採用しづらい?
「うちは地方だから、東京の企業に比べて、なかなか良い人が来てくれないのかもね~」
約3年前、私がHameeに入社した頃、社内でよく耳にすることがあった言葉です。
地元「小田原」を愛している社員でさえ、小田原に本社があることを、強みだと感じている社員は、ほぼいませんでした。
実際に当時は、都内の企業に比べて応募が集まりにくい、内定フェーズで辞退される、等のケースも多くありました。
同じような悩みを抱えている、地方企業さんも多いのではないでしょうか?
地方は本当に弱みなのか?
都心のイケている企業は、なぜ採用がうまくいっているのか?
魅力的なMissionやカルチャー、成長スピード、魅力的な社員…。
分析すればするほど、それってHameeも負けていない!という点ばかりが、浮かび上がりました。
しかし、確実に異なる点が1つ。
都内ではなく、地方都市「小田原」に拠点があること。
温泉が気持ち良い、海鮮が美味しい、地酒が美味しい、綺麗な海が徒歩圏内、自然豊かな山々、見晴らしの良い広い公園。お城がドーン。都内には電車一本で座って行ける「地元・小田原」。
気持ち良い温泉!
温泉で溢れる笑顔!!(※施設の許可を得て撮影)
お城がドーン!!!
そんな魅力あふれる場所「小田原」が、採用の弱み?
Missionや事業等、他の点では負けてない一方で「小田原」が弱みに……?
そうだ、逆に「小田原」を強みに変えてしまえばいいのでは?
Hamee独自の魅力・価値になるのではなかろうか?
すなわち、
「小田原」を強みに変える=
「小田原」の魅力が伝わる制度づくり・ブランディング
を突き詰めれば、より多くの方たちに選んでもらえるようになる。
そうした背景から、Hameeの「小田原推し」活動がスタートしました。
そんな折、
「小田原に拠点を置く理由」を樋口社長に直接聞く機会がありました。
「元々地元だし、都内は色んなノイズも多いからね。
うちはECやネットを使った仕事だから、小田原にいながらも全国、世界にアプローチできる。
また、小田原は老舗企業が多く、サスティナブル経営を自然と学べたりもする。それが魅力だね」
ふむふむ。経営陣視点でも、小田原はとても魅力的な場所のようだ!
まずは経営陣全体の認識を確認してみよう!
やったこと(1)社内の認識を擦り合わせる
「小田原推し」戦略の必要性を、まずは経営陣に確認しよう!
ということで、中長期的な人財戦略と題し、
1)目指す組織像 2)求める人財像について、経営陣とブレストしました。
Mission実現やそのための組織づくりのためには、
「Hamee独自の価値で、高いレベルの方に選び続けてもらう必要がある」
と改めて確認した後に、その手段について、提案・議論。
具体的には、SWOT分析を応用し「小田原推し」案を提案しました。
(※あくまで筆者の主観による内容です)
この資料はあくまで議論のタタキ台ではありましたが、
最終的には、
「面白法人カヤックさん(鎌倉)のように地方を強みにできたらいいね」など、"場所=小田原を強みにしていこう" "地元小田原から世界へ"
という方針を定めることができました!
◎ここでのポイント
・地方推しの根拠を明確にし、その必要性について社内の認識を合わせる
やったこと(2)イベントでの小田原・温泉ブランディング
では、実際に何をやっていくか。
簡単に、素早く実行できるところから。とは言ったものの何からやろう?
悩んでいたところに、現場エンジニアからある話が舞い込んできました。
「技術イベントのスポンサーとして、グッズ作成・ブース出展をしたい」
「小田原への観光をイメージして作ってみたら良いかも!」
(小田原推しにピッタリの良いアイデア!感謝)
ということで、現場エンジニアが主体となり、完成したものがこちら!
「はみぃの湯」(自宅お風呂用の温泉の素!)
そして、Hameeブースはこんな感じ。お城がドーン!
「この冬はHameeへ行こう!」(旅行会社か!)
これら全て、現場エンジニアが主体となり、企画・発案し、社内デザイナーの協力のもと、形になりました。
「なんか面白そう、やってみたい!」というアツい思いから、
プロトタイプ作成など温泉の素づくりに没頭した、エンジニアの巻嶋さん。
完成品を手にとり、満面の笑みの巻嶋さん。
本社コーヒーカウンターで実施された試作会の様子。
「やるからには良いものを作りたい!」。その熱量には、脱帽でした!
Twitterでも嬉しい反応を多数いただくなど、大成功の企画となりました。
(エンジニアの皆さん、ありがとうございました!)
◎ここでのポイント
・まずは簡単に、素早く実行できることからやる
・共感してくれる社員に主体的に楽しんで実施してもらう(人事はサポートに徹する)
やったこと(3)小田原を活かした制度の制定
ここが一番肝になってくるところです。(かつ難易度が高かったところ)
Hameeが実現したい世界を改めて明確にしたうえで、各制度を企画・制定していきました。
実現したい世界のイメージは、こんな感じです。
「小田原でのリアルな繋がりを大切にしつつ、多様な働き方も可能な世界」
具体的には、
・小田原での職住近接推奨で、社員のコミュニケーションを加速
・一方で、都心など遠方に住む社員も、気軽にオフィスに通勤できる
・みんなが集まりやすい場所として、小田原オフィスがある
・リモートでも仕事は可能だけど、
リアルで集まることで、イノベーティブなアイデアがより多く生まれる
こうした世界を実現するため、約1年かけて、以下の制度を制定しました!
「小田原手当」
小田原周辺地域2市8町に居住する正社員に対し、月2万円を支給する制度
「いざ!小田原」
月5万円(最大)を上限に、正社員の新幹線・特急電車・飛行機・船・高速バスでの通勤を可能とする制度
こういった社内制度を導入する際に、コストで頭を悩ませる人事の方も多いのではないでしょうか?
「小田原手当」受給対象者は、全社員約250名のうち約100名。
一見すると、かなり大きなコスト増に感じるかと思います。
いかにコストを抑えられる形にするか。メリットとコストの天秤。
その観点から、金額・対象地域・その他条件などを検討していきました。
最終的には、手当の中に通勤代を含む形とし(※現在は別途実費支給に変更)、コスト面も考慮した制度をつくっていきました。
「いざ!小田原」についても、各社員の月通勤代を上限とすることで、
新たに発生するコストを最小限に抑える形で検討・制定しました。
最大限にメリットを享受しつつ、いかにコストを抑えられるか。
ここを突き詰めることが、制度制定への何よりの近道でした!
◎ここでのポイント
・「目指したい世界」を改めて明確にしたうえで、各種施策を検討する
・社内制度だからこそ、「最大限にメリットを享受しつつ、いかにコストを抑えられるか」の観点を何より大切にする
やったこと(4)小田原推しHPの作成
イベントなどでの地道なブランディング、制度制定などの中長期施策が形になってきたところで、社外への発信も必要です。
そこで、Hameeリクルートページに「小田原推しページ」を作成しました。社員インタビューや家賃比較、知る人ぞ知る小田原スポット紹介など、
「小田原での生活」をイメージしてもらうことを目的に、こちらも社内のデザイナーに作成してもらいました!
美味しい料理屋さんに実際に足を運ばせてもらう等、同時に地域との繋がりも深めました。
◎ここでのポイント
・名所案内で終わらず「実際に生活するイメージ」が湧く内容にする
・足を使い、実際に取材することで、地域との繋がりが分かる内容にする
結果と今後~小田原を愛し世界へ羽ばたく~
2020年4月頃から強い発信を始めた「小田原推し」ですが、「地方」に対してプラスな気持ちで、新たに仲間になってくれる方が確実に増えました。(2020年4月~現在までに、前年の約2倍となる37名が入社)
社員向けアンケートでも、
「会社の強み・好きなところ」上位に「小田原」がランクインするように。社内部活動制度で新たに、小田原を愛し満喫する部活「おだわラブ」が立ち上がるなど、小田原推しの動きが社内でも盛り上がっています!
また、外部からの反響も大きく、上記制度について多くのメディアに取り上げていただきました。(大感謝!)
withコロナ・アフターコロナの時代。
「どこで働くか」という物理的制約が少なくなっていく時代。
そんな時代だからこそ、
今後は「地方で働く」ことが、当たり前になっていくと思います。
最後に、改めて「小田原」への想いについて、樋口社長に聞きました。
「最近は小田原に魅力を感じ、Hameeを選んでくれる人も増え、嬉しいね。
もう場所が関係ない時代だから、広い部屋、綺麗な空気、良い人の繋がり、週末は 海、山、畑、温泉、茶室…と、
豊かな環境で東京も近い小田原が、住むにも働くにも最高ということを、これからも発信していきたいね」
Hameeは今後も地元小田原を愛し、小田原でのコミュニケーションを大切に、Mission「クリエイティブ魂に火をつける」を加速していきます。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!