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「読んでもらえない前提」と肝を据えれば書きやすい

読書は並行して3冊くらいを掛け持ちしている。
電子書籍は味見して終わるときもあるので、入れ替わりが激しい。
書籍として本の現物を買う場合はある程度、吟味するのでアタリが多い。
最近読んでいる本が立て続けに心へヒットを飛ばしているのでスコア(メモ)を残しておこうと思う。

いま読んでいる本たち

「あしたから出版社」(島田潤一郎/ちくま文庫)

本作りのあれこれが書かれていて、読み終わりたくない一冊。
2~3日間隔でかみしめるように読んでいる。
「本」というものが好きな人は絶対に読んで欲しい。

「メタモルフォーゼの縁側」(鶴谷香央理/KADOKAWA)

実写映画化された作品。
noteのフォロワーさんが映画レビューを書かれていて、「なんとなく面白そう」という印象から「これは絶対に読む!」に変わったコミック。
主人公の女の子(高校生)が書店でアルバイトをしているというところがツボ。
まずコミックのシュリンク(立ち読みされないようにビニールをかける作業)しているところから始まるのがナイスヒット!!
私も若いころに書店員をしていたので、お客さまが買う本からあれこれ推測するのが好きだったな~。
ちなみにBL(ボーイズラブ)というジャンルを知ったのも書店員のころ担当を任されたから。

彼女たちが同人活動に足を踏み込んでいく過程に共感。
「自分が読みたいものを書けばいい」
おそらく同人作家さんはみんなそういう気持ちで始めたと思う。
私もそうだったし、いまも変わっていないし、さらに強くそう思うようになった2022年。

「秒で伝わる文章術」(宮崎直人/フォレスト出版)

作品のなかに「読んでもらえない」という前提で書く
というフレーズが登場する。
衝撃すぎる内容だ。
どうやら作者はコピーライターをされていたとのこと。
”広告は誰もみたくないし、コピーは誰も読まない”と教え込まれたという経験から飛び出したフレーズ。
たしかに録画したテレビ番組のCMは飛ばすし、YouTubeで流れる広告には舌打ちいれたくなる。
WEB記事のリード文はありきたりだとスクロールするし、noteの記事も飽きれば飛ばしてしまう。

あぁ、私も文章を「読んでない」と思い知らされた。

「読み手はあなたの文章に興味がないし、できれば読みたくないと思っています。」(「秒で伝わる文章術」より)

ですよね~、知ってた。
そもそも「読まれたい」という欲があるから書くハードルも上がってしまう。いっそ誰も読むわけないと思って書いたほうが気軽に書けるような気持ちもしてくる。

だが作者はこう続けている。

「人間は文章を読まない」という前提で、「どうすれば伝えたいことが伝わるのか?」を考える。(「秒で伝わる文章術」より)

文章を読みたくないと思っている読み手の負担を軽減したいという読者ファーストの文章を考えると書かれていた。

この本じたいがとても読みやすいのは間違いない。
すらすらと頭に入ってくるので、まさに「読者ファースト」な文章だ。

うん、文章書く上ではいちばん大切なことだよね。
と私は思いながら、別の本で読んだ言葉がふっと舞い降りてくる。

人はみな「失敗するのが怖い」と言うが、本当に恐れているのは、「成功するかもしれない」ということである。

ずっとやりたかったことを、やりなさい。(ジュリア・キャメロン著/サンマーク出版)

心の内側を読まれた気がして、鳥肌が立ったフレーズだ。

何かを始めようとするときに二の足を踏んでしまうことがあると思う。
そのとき頭の中に過ぎっているのは、「成功している自分」ではないだろうか。
そしてその成功している自分は、いま自分が求めている姿と違うから、始めることができないのだ。

メタモルフォーゼの縁側3巻の作中に、冬コミ(冬開催のコミックマーケットの略)の「一般参加」(お客さん/買う側として参加)を諦めるシーンがある。
主人公の女子高生は、BL漫画仲間(相方)である75歳のおばあちゃんの体調を心配して諦めるのだが、私は「一般参加」ということが彼女なかで諦めた理由だと感じた。
もちろん体調を気遣ったのもあるだろうが、それは表向きの理由であって、本当は「自分も本を作る側」としてイベントに参加してみたい、という気持ちが根底にあったのではないだろうか……。(本人はまだ気づいていない)
(いま3巻まで読んだ印象です。違う展開だったらごめんなさい)

誰しも自分が生み出した文章をたくさんの人に読んでもらいたいと思うのがふつうだろう。
しかし「もし読まれなかったらどうしよう」と思ってしまうのは、「読まれる」というのが前提にあるからだ。

人は文章を読みたくない。
だから人に文章で何かを伝えたいときは、どうやったら伝えたいかを考える。
そうすれば自然と読みやすい文章が生まれるんだろうな~と思いながらnoteを書いてみた。

大丈夫、だれも読んでない。
だから、気張らずに書きたいことをnoteでは書いていこう。



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