【質問箱への回答】歴史総合の授業づくり 資料集めの方法、教育学の用語、日本史専門教員
質問箱への回答が文字数を大幅に超えたので、こちらに回答します。
ご質問ありがとうございます。教育実習頑張ってください。
1点目:資料を集める時に参考になさっている本などはありますか?
→KCJの授業づくりでは、私は次のことを意識しています。
①キャッチーなMQ
②比較的読み解きやすいエキスパート資料
③倫理観、価値観を問い、正解が1つに定まらない切実な議論
①に関しては、新書、テレビ番組、大学時代の講義で印象に残っているネタなどを活用しています。
新書は、講談社現代新書が読みやすく、よく使っています。
「この単元のネタを集めるために、本を読もう」となるよりは、地理・歴史関係の新書を読んで、これはこの単元に使えると思ったものをスマホにメモっています。
②に関しては、各社の教科書・資料集が多いです。各社のプロたちが、高校生にとって読み解けると判断された資料を選んで載せていると考えると、教科書・資料集に載っている資料をもとにするのがまずはとっつきやすいのかなと思います。
また、共通テストの問題も混ぜ込むことがあります。
③に関しては、倫理や現代文で学ぶような、白黒つけがたい問いを繋げられないか?を考えています。
「大衆社会で、人はなぜ孤独なのか?」「科学技術は人を幸せにするのか?」「大衆は、戦争の被害者か、加害者か?」など。
2点目:「○○主義に基づいて〜」のような言い回しがとても難解
→難しい言い回しを使いがちなのは、私自身も反省すべきですね。かつ、私も、他の人同士のやり取りで、よく分からないこともよくあります。
「この語句が分からない」をどなたかの質問箱で指摘してもらえたら、都度それがどういう意味なのか、その人が答えるでしょうし、かつ他のアカウントもその答えを受けて反応すると思います。
「現状歴史総合は世界史専門の先生方に有利な科目なのでは?」という点については、歴史総合は実際、世界史寄りな気はします。
グローバルヒストリー全体から見た近現代史の再構築なので、そうなるだろうなと思います。
ただ、国民国家史がいかに紡がれてきたか?(アイヌや琉球を辺境と捉える点など)を、日本史を題材に詳細に理解している、そこを思考させるネタを持っているという点で、日本史専門の教員が歴史総合で活躍できる場面は相当あると思います。