見出し画像

肉を食べたいならここ!シェフたちが通う王道フレンチ~「ビストロヨシダ」

「富山市で美味しいお肉が食べられるお店は?」

いくつか選択肢、そして好みはあるが、ちょっと通な方はこう答える。

「あまり教えたくはないけれど、ビストロヨシダの肉は間違いない」と。

名だたるシェフもそこの肉を目当てに通うという。


そんなビストロヨシダは富山市でも老舗のフレンチビストロ。
まわりは畑、そして今の季節は梅の咲く、静かな場所にたたずむ。

肉が美味しいという定評だが、老舗らしい他の王道フレンチメニューも味のバランスがよく、多くのファンを持つ。

ドアを開けるとすらりと長身のマダムが迎えてくれる。はつらつとしたその姿、その声は、なんとも気持ちがよく、これからはじまる時間の居心地のよさを約束してくれる。

昼はコースだが、夜はアラカルト中心。黒板に書いたメニューが並べられると、どれも魅力的で悩ましいのだが、こちらの気持ちを察しマダムが的確なアドバイスをくれるのもありがたい。

さて、今宵のスタートは、ロックフォールのサラダ。

フランス産ロックフォールの塩味としゃきしゃきとさわやかなアンディーブ、そしてクルミの食感がなんとも小気味よい。このサラダは定番メニューだが、ヴァンムスーとの相性も良く、ついつい頼んでしまう一品。

ポワロ―のヴィネグレット。トロトロに煮込んだポワロ―ねぎを冷たくし、ヴィネグレットソースをかけミモザ仕立てに。ねぎの甘みとソースの酸味が口の中でとろりと溶け合い、思わず笑みがこぼれる。もう少ししたらポワローからアスパラガスになるというが、それも想像しただけで頬が緩む。

牡蠣のブルゴーニュバター、ハーフサイズ。牡蠣を少しだけいただきたいというリクエストにシェフが答えてくれて出てきた一皿。ぷりっぷりの牡蠣に濃厚なバターの中にもパセリのすっとした清涼感があるソースの組み合わせは間違いない美味しさ。もちろんパンですべてを余すことなくいただく。

ブーダンノワール。外はカリッと、中はふんわりトロリ。りんごのサラダの甘みと、ブーダンノワールのいい意味でくせのあるスパイシーさが程よく混ざり合い、ワインがいくらでも進む味わいに。

さて、続くメイン。

鶏にするか、豚にするか、牛にするか、羊にするか。焼きにするか、煮込みにするか……肉が美味しいこの店ではなんといってもメインは一番悩ましい選択に迫られる。

さんざん悩んだ結果、選んだのはこの料理。
春の野菜もたっぷりいただけるココット焼き。

ほろりとやわらかい鶏肉、色鮮やかな春野菜。いい塩梅で鶏と野菜のお互いのうまみが混ざり合って溶け合って。どこをいただいてもまさに至福。名だたるシェフが通うのもうなずける。

胃も心も満たされて、お店を後にしようとしたその時、シャイなシェフが初めて顔を出してくれる。

あまりのレアなシェフの登場に驚きつつ、でも初めてお会いできて嬉しくて、しばし語らう。

これから日が伸びると、日が暮れゆく美しい風景も堪能できる店内。次はそんな時間を素敵なマダムとシェフの素晴らしい料理たちとともにゆったり過ごしに来ようと思う。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?