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肩ひじ張らず楽しめる、愛情たっぷり隠れ家レストラン~「GUENON(グノン)」

主婦がシェフになり、そしてミシュランで星を獲得する――そんな快挙を成し遂げた「GUENON(グノン)」の吉國愛さんは「ただただ旦那さん、そして家族の笑顔が見たくって」とシェフを志した気持ちは家族愛からきているのだとブレずに答える――。


富山駅からタクシーで約10分。立山の眺望が美しい静かな住宅街にグノンはある。

3世帯が暮らす母屋の隣に建てられた、重厚な扉の看板のないお店。

ちょっと敷居が高いように感じるたたずまいだが、扉をあければ心地よい空間が広がり、笑顔のシェフが迎えてくれる。

このグノンは富山の街中にあるワイン食堂「le glouton(ル・グルトン)」の姉妹店としてグルトンオーナーの自宅の敷地内に建てられたレストランだ。

工事中、どこからか猿がひょっこり顔を出したことがあり、そこからフランス語で猿を意味する「GUENON」という名前を付けた。

ここでいただけるのは、家族愛にあふれたグルトンオーナーの妻であるシェフの創作料理。

夫であるオーナーが2店舗目の青写真を描き始めたころから富山市の有名日本料理店ほか、様々なお店で料理の勉強をし、料理人のスキルを努力で手に入れたシェフ。

天性の素材あわせのセンスの良さと、美味しものを求める好奇心も手伝って、行くたびにその料理は進化を遂げ、冒頭の通り、ミシュランガイド北陸2021特別版では星を1つ獲得した。

ほっこりするような優しい味わいながら、斬新な要素も組み込まれたシェフの料理にファンは多い。

今回は白えびが食べたい、と富山にやってきた友人とともに伺った。

新玉ねぎと白えび、水だこ、デラウエァをのせて。それぞれの素材の甘みのグラデーションが面白い一皿。デラウエアと白えびは初めての組み合わせ。

変わりお造り。白えびとイカの紹興酒漬けはねっとり濃厚でお酒がすすむ。ごま油をじゅっとかけた中華風の味付けだったり、塩とわさびでいただく炙りだったり、味のバラエティが楽しい。

茶碗蒸しの中はモッツァレラ。甘酒入りのトマトジュースを合わせて変化を楽しむ。日本一標高の高い場所にある酒蔵、三笑楽のプレミアム酒、魂とともに。

鮎。すだちでさわやかに。

炭火でふっくら焼き上げた富山産の鰻。

池多牛の炭火焼きにふくらとろりと炊き上げたなす。うまみが凝縮された肉になすがソースのように絡まって、美味。

近所の農家さんから分けていただいているお米を使って炊き上げたトウモロコシご飯にみそ汁。もしかしてここで一番好きな料理は味噌汁かもしれないといったら、慌てて味を確かめるシェフ。出汁のうま味とみそのコクが体にすっと染み込んでいく。トウモロコシご飯の炊き具合も私好み。

デザートはフレッシュメロンのクリームソーダ。ソーダは国産のスパークリングワインで。懐かしいビジュアルがちょっとツボ。こういう演出もうれしい。


「いつも家族には感謝しかない」と語るシェフの一番のスパイスは、やっぱり愛。

だからこそいつもお腹だけでなく心も満足するのだろう。


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