【詩】スケッチブック
大きくなっていく世界の明るさは私には強すぎて、目を背けたいことばかり。
眩しすぎる光の中にいるような毎日に、前も見えなくなってきて。
押し潰されそうで息が上手く出来なくて。
誰のせいでもないのだからと自分を傷付けた。
そのたび繰り返し願った、私のいない世界。
真っ暗で、風もなくて、息もできない世界で生きられたらどんなにいいだろう。
日の光でいつの間にか願いは溶けて、もう一度はじめからやり直し。
無くなっていく願いはまだ、私の中にこびり付いている。
汚れたパレットのように。
こんな私なんかいない方がよっぽどいいと思いながら、それでも捨てきれず、ただ時間だけが過ぎてゆく。
光が強すぎて、周りが見えない毎日。
ただ前を向いて歩きたいだけなのに、どうしてこんなにも上手くいかないのだろう。
毎日が終わりに向かって降りていく階段のように思えた。
それでも、明日は来る。朝はやってくる。
あまりにも眩しい空が憎らしいほどに綺麗で、私はまだ生きている。
聞こえてくる優しい言葉とか笑顔とか、愛も希望も綺麗すぎる響きで胸が痛む。
今私に出来るのは、ただこの階段を下りることだけ。
何もない真っ暗な場所で、誰にも出逢うことなく一人でひっそりと眠りたい。
そして夜明けと共に目を覚ます。もう起きなきゃと思う時間に、夜が魔法をかけてくれる。
たとえばもし生まれ変わるなら、もっと賢くて強くて綺麗な人がいい。
明るくて元気で優しい笑顔の素敵な人に生まれ変わりたい。
たくさんの「もしも」を夢見て眠りにつく夜は、いつも同じ夢に辿り着く。
また生まれ変わって違う人間になったとしても、もう一度私が私になるのなら、私は私を愛してほしい。
「私なんか」と思わずに、「私だから」。
誰かにこう言ってもらえる日が来れば、きっと私は救われる。
私は、それが一番欲しい。でもそれはまだもう少し先でもいい。
今はまだ、世界が私の全てを塗り変えないように。私が消えた後の私だけの世界でまた私自身を恨んだりしないように。
今はただ、鏡の中の私に「大丈夫」と言い続けるだけ。
いつか、いつかまた、私が消えてしまいたいと願うその日まで。
私を愛せるようになるまで。
もう少しこのままでいさせてほしい。
私はただ、私を愛したいだけ。
不安で胸が詰まって、怖くて辛くて押し潰されそうで、あんなに泣いた日々も今では懐かしくて。
今は私を知らない世界の中で好きなように過ごしてる。
好きな曲をかけて、お気に入りの服を着て、何も考えずに街を歩いてる。
どこからか穏やかな風が吹き込んで、黒い空気を追い出そうと優しく上下する。
流れに押し出されて息が深く吸えるようになる。
重たい心が軽くなる。
今でも眩しくて涙は止まらなくなるけれど、目を開くとモノクロの世界が広がっている。
色が欲しいのにどこにもないから自分で作ることにした。
絵の具で塗るだけじゃ足りないから花も飾ろう。星もたくさん付けよう。
私はどこにでも行けるんだと信じて。
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