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1/18 知らない異世界がそこにあった
先日地元の大きな百貨店の一角にある高級ブランド店に足を踏み入れた。
その名も「LOUIS VUITTON」
百貨店自体は最近カジュアルな感じになっていて、惣菜とかカフェやら色々眺めながら足慣らしをして気持ちを高めていく。
なんなら一回外に出て東急ハンズに行ったりもした。その時に思わぬ発見もあったのだが、それはまた別の機会に書きたいなぁと。
なぜLOUIS VUITTONなのか。それは母親への誕生日プレゼント探しが目的である。
数年前に10万程した長財布をヤフーショッピングで購入したことがあったのがキッカケになっているのだが、その第2弾として今度は実店舗に行ってみたいと考えた訳だ。
が、入店までに結構時間を要することになるとは。
ちょっとした敷居の先にある店舗。そこには綺麗な赤絨毯が敷かれ、綺麗に並ぶ品々は異様な程煌びやかに見えた。
僕から見れば完全にボス部屋だもん。
やっとこさ足を踏み入れることになるのだが、もう空気感からして違う。上品なのは雰囲気やスタッフさんの接客や立ち振る舞いだけでなく、訪れているお客さんもであり、ドレスコードだっけ?と錯覚をさせてしまう。
ただ、下賤な者である僕でさえもそこにいるだけで、同じ上級な方々の一員になれたような気をさせてしまうというすんごい魔力めいたものがあった。
商品自体は決して多く並んでいる訳でなく控え目で、なんならそれぞれ一つずつ然るべき場所に置いているといったところで、とにかく在庫を並べ売るぜッ!という意気込みや勢いを全く感じさせない。
初めて上京した当時を思い出し、キョロキョロと不審者丸出しムーブでとりあえず宝箱、もといバッグを矯めつ眇めつ眺めていたのだが、僕みたいなブランド初心者であっても、その存在感や高級感というものが分かってしまう。
棘が伸びている訳もなく、ましてや毒を持っている筈がないのに手に触れることさえ躊躇われた。
無意味に睨み合うこと数秒。
溜め込んでしまっていた唾を一気に飲み込んで、ゆっくりと視線を下ろした先に並ぶ数字………桁が多い。
真面目に目を擦って見直してしまった。
普段数千円、数万円で散々迷っている僕からすればそこに並ぶ金額は天文学的なものに見えた。
昼に食べたオムライスを吐きそうになった。
ただ、最初に見たそれは文字通り入り口に過ぎず、奥に進めば更なる衝撃を受けることになる。
凄い!と称賛してしまうものが多いが、正直なにに使うんこれ?というものもチラホラあり、またそういうのに限ってとんでもない金額をしていた。
結局この日はなにも買うことが出来なかった。
というより長居出来なかった。
登山で標高を上げることで酸素濃度が薄くなっていき、息苦しくなっていくことがあるのだが、ここはその逆だ。
空気がとにかく濃い。
そこにいると身体が重くなった気がして、退店した後は無性に疲れて息切れしてしまっていた。
LOUIS VUITTON恐るべし。
どうやら僕には格が足りないようで。