黄色メガネと赤ランドセル
笑福亭笑瓶さんの訃報には本当に驚いた。
黄色いフレームのメガネが印象的な人だった。ふつうの人はまず選ばないであろうド派手なメガネも、芸能人ならそれがトレードマークになるんだなあ。別に羨ましくないが。
日常の“色づかいチョイス”は面白い。
かつて、ランドセルといえば男子は黒、女子は赤がステレオタイプ的定番だったが、最近はどうもそうと決まったものでもないようだ。女の子が焦げ茶色を背負っているのはなかなかカッコいいのである。
「赤は女子」はいつからの定番なのだろう?
すぐに思いつくのはトイレの表示だが、歴史は案外浅いのかもしれない。それでも、生まれたときからそれがアタリマエだった子どもの頃の自分。赤い物などは絶対に身に着けたくなかった。
会社で使っているハズキルーペ。フレームは紫だが、実は、家でかけているのは赤だ。
たまたま買いに行った店の品揃えが限られていただけで、積極的に選んだわけではない。「ま、自宅で使うだけだし、かえって面白いかもね」と思った。それでも特に不満はなく、「子どもころの自分なら選べなかったなあ」と思うだけである。
そういえば、日本では還暦おじいちゃんのお祝いは赤いちゃんちゃんこだった。確かに、おっさんになって暗い色合いのいでたちばかりしていては、存在自体がくすんでしまう。どこかにワンポイントで「華やかさ」を注入することを考えてみてもいいか。「なにもわざわざそんな珍妙なこと」と恥ずかしく思うほど、他人はこちらを見ちゃいない。
それでも黄色いメガネだけは無理、無理。やっぱり芸人さんは住む世界が違う。
(23/3/9)