見出し画像

除“夕”の鐘?

2021年も大つごもりである。

子供の頃は大晦日の夜はワクワクしながらダラダラ夜ふかしをするのが楽しかった。しかしアラカンとなったいま、紅白にも民放の裏番組にもまったく心は動かず、ましてや寒空に繰り出す徹夜の二年参りなどはもってのほか。睡眠リズムが狂ったら、元に戻すまでにどれだけかかることか。今夜もとっとと早寝して、明朝も普通にジョギングするほうがよっぽどワクワクさせられる。

除夜といえばやはり「除夜の鐘」。しかし近年は深夜ではなく、昼間や夕刻に撞く寺院も増えているという。時代も様変わりしたものだ。

深夜の鐘の音を騒音とみなして苦情が出ていることは想像していたが、高齢化の問題もあるとなれば、これは地域社会の抱える問題の縮図でもあるわけだ。

深夜に聞いた「ゴーン」という鐘の音は、楽しかった大晦日の郷愁を誘う。「108の煩悩を打ち消してくれる」という言い伝えもいかにも年末の風物詩にふさわしい味わいだ。それを失いたくない気がするのも人情だろう。

それでも、“伝統”なんてモノは有難がって墨守するだけの価値があるかどうか、考え直すべきだろう。仏教も寺も時代にあわせて柔軟に対応してゆく必要がある。夕方に聞くのも、また乙なものではないか。
(21/12/31)


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?