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歳神さまをお迎えする

新年の恒例行事はあまり変わらない

新年を迎えることに毎年大きな違いがあるようには見えない。年末のスーパーにはミニ鏡餅や松飾りがズラリと並ぶし、テレビ番組は相変わらずのラインナップだ。デパートの初売りにはやっぱり人が殺到するのだろうし(コロナ対策は大丈夫?)、ことしも箱根駅伝はテレビをつけっぱなしにしてダラダラと見ることになるのだろう。

見かけなくなったのは・・・

それでも「ああ、めっきり見かけなくなったなあ」と思うのが、女性の晴れ着姿と自動車の松飾りだ。

人であふれた有名な寺社仏閣へわざわざ初詣に行く習慣はないが、テレビなどで流れてくる映像を見ても晴れ着姿の女性はほとんどいなくなったように思う。まず「晴れ着」という言葉がもはや死語なのかもしれないし、大晦日に美容院で日本髪を結う人はどれくらいいるのだろう。そういえばかつては「振り袖のたもとに火の着いたタバコを投げ入れ」というトホホなニュースが新聞に載ることもあったが、そもそも路上でタバコを吹かしているような輩もいなくなった。

もうひとつの“絶滅危惧種”が自家用車のフロントグリルに装着する松飾りだ。数年前の正月に巨大駐車場の中で注意して見てみたが、着けている車は皆無だった。そういえば年末の街角に出現していた松飾りの屋台はいまも健在なのだろうか。

同じことに着目した記事をさきほどネットで発見した。

ブータンでも飾っていた

20年ほど前に取材でブータンへ行った際に、トラクターなどを飾り付けて「感謝の気持を表す」というお祭りに出くわしたことがある。 

我が国の自家用車飾りと妙に似ているところが面白い。

日本人のメンタリティも少しずつ変化している

21世紀になってすでに20年以上。「目に見えない何かを感じて、それを敬う」という日本人の気持ちも少しずつ変化してきているのだろう。「歳神さまをお迎えするもの」と知らずにただなんとなく松飾りを玄関にぶら下げている日本人のなんと多いことか(「チコちゃんに叱られる!」の森田美由紀アナ風に)。

諸行無常。当たり前のようにやっていることも徐々にフェイドアウトしてゆくのは止められない。昨日も書いたが、伝統はむやみに墨守するだけでいいわけではない。その変化を嘆く気分の存在は、それだけ自分が年をとったということの証しなのかもしれない。
(22/1/1)

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