マガジンのカバー画像

僕の好きな詩について 現代詩 日本編

48
僕の好きな詩について、言いたいことを言うnoteです。日本人の近現代詩に絞ってます。画像はネットから。問題があったらすぐ消しますので教えてください。
運営しているクリエイター

2018年11月の記事一覧

僕の好きな詩について 第三十九回 石原吉郎

僕の好きな詩について 第三十九回 石原吉郎

おはようございます。僕の好きな詩についてお話しするnote、第三十九回は石原 吉郎氏でございます。

まずは詩をどうぞ。
――――――――――――――

「伝説」石原吉郎

きみは花のような霧が

容赦なくかさなりおちて

ついに一枚の重量となるところから

あるき出すことができる

きみは数知れぬ麦が

いっせいにしごかれて

やがてひとすじの声となるところから

あるき出すことができる

きみ

もっとみる
僕の好きな詩について 第三十八回 白石かずこ

僕の好きな詩について 第三十八回 白石かずこ

僕の好きな詩を紹介するノート、第三十八回は白石かずこさんです。

第三十一回で登場した北園克衛氏https://note.mu/hally10031003/n/nfe8d2899877d
が開催していたVOWのグループの一員で、流石の奔放さです。

では詩をどうぞ。
―――――――――――――
「虎」白石かずこ

すると
虎は 彼でもなかった
私の 胸の部分の昨日から今日へと
山脈がよこたわり

もっとみる

僕の好きな詩について 第三十七回 清水昶

ご無沙汰してます!忙しく中々更新できないでいた僕の好きな詩についてお話しするnote、第三十七回は清水 昶(しみずあきら)氏です。

まずは詩をどうぞ。
――――――――――――――――
「少年」清水昶

いのちを吸う泥田の深みから腰をあげ
鬚にまつわる陽射しをぬぐい
影の顔でふりむいた若い父
風土病から手をのばしまだ青いトマトを食べながら
声をたてずに笑っていた若い母
そのころからわたしは

もっとみる
僕の好きな詩について第三十六回 田村隆一

僕の好きな詩について第三十六回 田村隆一

こんにちは!僕の好きな詩について語るnote第三十六回は田村 隆一氏です。
偉大なる詩人、だけではなくエラリー・クイーンやアガサ・クリスティの翻訳もされた方です。

ではどうぞ。
――――――――――――――――
「見えない木」 田村隆一

雪のうえに足跡があった
足跡を見て はじめてぼくは
小動物の 小鳥の 森のけものたちの
支配する世界を見た
たとえば一匹のりすである
その足跡は老いたにれの木

もっとみる
僕の好きな詩について 第三十五回 町田康

僕の好きな詩について 第三十五回 町田康

おはようございます。あれ、今年がもうあと二ヶ月間も無いのでは、、?ふおぉ。(言葉にならない)

さて、第三十五回、今回の詩は町田 康氏です。サイケな世界観です。ではどうぞ。
――――――――――――――――

「俺は走る」町田康

俺は臭い森を抜け家郷に走る
俺は臭い森を走る
痰と唾で輝く大地
その大地を走る俺
まるで黒粒のようだろう

秩序がひかり輝く家郷
左右の両巨頭が手を結び
邪悪と悪徳が輪

もっとみる