はじまりはいつもあの日の丘の上朽ちぬ緑に朽ちぬ歌声
往けと押す誰そ彼ならば今此処にたとえば夕陽おまえは往くか
暮れる街過ぎゆく者に過ぎゆく日誰も己の瞳は見えぬと
誄文も土に彫っては読めないとけれどはじめに埋めた真実
何処へなど問うなこの空ほら今にわが足を見ろ何処へでも往く
螺旋すら今は愛しく廻り出す歌え流転と永久の旋律
あの日見た空といつしか踊るため赤い記憶に羽は与えず
犠牲ならひとつだけ在るこの胸に千切った心そのひとかけに
落日にぜひ如何かなお客人歌えるだろうその身ひとつで
20180715 ハイク・ルドラに捧ぐあいうえお短歌
シリーズ:『たそがれの國』