コーヒー豆デビューの話 その1
その時は突然やってきた。
「豆のままがいい?粉にもできるよ。」
とっさに答えた。
「豆のままでお願いします。」
子どもの時から”コーヒー”と名のつくものが好きだ。
最初は紙パックに入ったコーヒー牛乳に感動し、
学生時代はお小遣いやバイト代でペットボトルコーヒーを買うことにハマり、
その後コンビニコーヒーにハマった。
ひとつずつ包装されているドリップ式コーヒーを淹れるようになると、
思考は自然と次の段階へ。
いつかはコーヒー豆を挽いて、ドリッパーにペーパーをセットしてコーヒーを淹れる、、、
なんてことをやってみたいという、憧れを持つようになった。
ある時、
コーヒー豆屋さんの閉店作業に居合わせたことがある。
(なぜそんな状況になったのかは、また後日。。)
コーヒー豆余っちゃったけど、いる?
どうせ捨てちゃうだけだから、あげるよ。
と言われた。
「豆のままがいい?粉にもできるよ。」
例の質問だ。
私の頭の中では、こんな言葉が飛び交う。
家には、ミルがない。ドリッパーもない。ペーパーもない。
いや、ドリッパーは古いのがあったかな?それを使えるな。
ここで粉に挽いてもらえば、ペーパーさえ買えば淹れられる。
でも、、、!
「豆のままでお願いします。」
脳よりも口が先に勝手に答えていた。
頭の中の理論がどうであろうと、私の全細胞が、
「コーヒーを豆から挽くところから始めて、ドリップして飲む、っていうのをやりたい」
と訴えていて、反射で答えてしまった。
酸味よりも苦味が引き立つコーヒーが好きなので、
深煎りのコロンビアを頂戴することにした。
私が随分とウキウキしていたからか、
通常の量より、2割増しくらいに、袋いっぱいに詰めてくれた。
袋パンパンに入れてもらったコーヒー豆は、袋に開いている小さな空気孔から良い香りを匂わせていて、あっという間に鞄の中がコーヒーの香りに占領された。
ふとした瞬間、己の鞄から漂う香りに、にやにやしながら帰宅した。
他の人から見れば相当変人だったと思う。
さて、このたっぷりのコーヒー豆をどうしよう。
つづく
(長くなってしまったので、2つか3つに分けて投稿しようと思います!
近日中に続きも投稿しますので、読んでいただければ嬉しいです。)