ゲームの評価を下げないために
こんにちは、はるねこです。
自分は、ゲーム業界(主にコンシューマ)で10年ちょっと勤務しているゲームプログラマーです。
今回は「ゲームの評価を下げてしまう要因」について考えてみようと思います。
自分が考える「評価を下げてしまう要因」はこんな感じかなと思っています。
払った金額に対する満足度が低い。
ユーザーの期待を裏切る(悪い意味で)
ユーザーにとってのプラスがない、プラスな感情になれない。
不快な要素が存在する。
あくまで個人的な意見ですが
ゲームの評価は、加点部分と減点部分の総合評価かなと思っていて、プログラマー的には、いかに減点部分をなくすか、かなと思っています。
1つ1つ掘り下げていきます。
■ 払った金額に対する満足度が低い
□ スーパーで働いていた時のお話
自分は昔々、スーパーで働いていた事があるのですが、その時先輩や上司に言われた事の1つに
というのがありました。
時々によって、現場で値段を決める事がありました。
その際は「この値段で売るとどれだけの利益になるのか」という事と「どれくらいのボリューム、値段だと "安い!" "買った!" と思ってもらえるのか」それらを天秤にかけて値段を決めていました。
□ ゲームで考えてみる
ゲームも1つの「商品」です。
ゲームでも同じ事が言えると思っていて「払った代金に対する満足度」によってそのゲームへの評価が多少変わってくると思っています。
もちろん「満足度」というのは、ゲームのボリュームだけが全てではないですが、例えば、ゲームのプレイ時間で考えてみます。
ゲームのジャンルにもよるので一概には言えないですが
RPGを例にすると、個人的な感覚としては、やり込みなしで最低30~40時間ほど遊べたらフルプライス(6800円くらい?)でもいいかな、という感覚です。
時間当たりにすると「170 ~ 226円 / 時」
これを元に単純計算すると
10時間でクリア:1700 ~ 2260円
20時間でクリア:3400 ~ 4520円
30時間でクリア:5100 ~ 6780円
40時間でクリア:~ 6800円
であれば「損したな」という気持ちにはならない、という事ですね。
あまり自分でも意識した事なかったですけど
自分でゲームをリリースする際は、こういった目安を作るといいかもしれませんね。
再度言いますが「ゲームの満足度」というのは、ボリュームだけが全てではないです。
ですが「値ごろ感」が乖離しすぎてしまうと、ユーザーを「損した」気分にさせてしまうかもしれないので注意が必要ですね。
逆に「こんなに面白くて長く遊べるゲームがこの値段!?やっす!」みたいなパターンもありますが、それは「払った金額に対する満足度」が期待以上だったから出てくる感想なのだと思います。
□ 気をつけたい事
自分は、値段を決める立場にたった事はないですが、値段設定をする機会があれば気をつけたいです。
開発的には、ボリュームが足りてないと感じるのあれば、コストをかけすぎずに、ボリュームを増やす事はできないか?という事を考えたいですね。
■ ユーザーの期待を裏切る(悪い意味で)
□ 期待を裏切る、という事
シリーズもののゲームであれば「そのゲームらしさ」であったり「変わっていい部分と変わって欲しくない部分」が期待通りかどうか。
新規IPのゲームであれば、PVや公式サイトから得られる情報から「こういうゲームなんだろうな」というユーザーの想像と、実際に遊んだ時の乖離がないか。
この辺りにおいて、ユーザーの想像していたものと大きな相違があった場合「ユーザーを裏切った」形になってしまうんだと思います。
ただ、ユーザーの想像と違っていたとしても、結果、ゲーム自体が面白ければOKだと思います。
体験版を出せると、双方に取って悲しい結末にならずに済むかなと思いますが。
□ 気をつけたい事
クリエイターであれば「自分の色を出したい!」であったり「新しい事にチャレンジしたい!」と思うのも普通の事かと思います。
ただ、ユーザーを置いてきぼりにしないように気をつけないと、というのは日頃から気をつけています。
「こういうのやってみよう!」「こういうのやってみたい!」というのはよいけれど、それはユーザーにとってプラスに働くのだろうか?
という視点も忘れないようにしたいですね。
■ ユーザーにとってのプラスがない、プラスな感情になれない。
□ ゲームは娯楽
ゲームは生活必需品ではありません、娯楽です。
ユーザーは、ゲームをプレイして、何かしらのプラスを得たいはずです。
それは
「楽しい」「面白い」といったプラスの感情であったり
「なるほど」「勉強になる」といった学びであったり
「暇つぶし」といった時間の使い道であったり
様々だと思いますが、わざわざ不快になりたくてゲームをプレイする人は少数派だと思います。
ですので、できるだけ、ユーザーにとって「不快」になる要素というのは省けるだけ省くのがよい、というのが自分の見解です。
(「不快な要素」に関しては、次の項目でお話します)
□ 気をつけたい事
ただ「鬱ゲー」のような、後味の悪いゲームというのも世の中には存在しますし、それは確かに、プラスの感情にはならないかもしれませんが、そういう展開が好きな方もいらっしゃいますし、自分も好きです。
プラスの感情にならなくても、感情が揺さぶられる事で満足できます。
ただ、こういったゲームの場合は、うーん、難しいですけど
無料ゲーでないなら、パッケージ詐欺にならないようにするのが無難な気がします。
これは先述した「ユーザーの期待を裏切る」事に繋がりかねないからです。
■ 不快な要素が存在する
□ 快適じゃない、ストレスになる
例えば
ファストトラベルがなくて、毎回移動にすごく時間がかかる。
挙動がもっさりしていて「気持ちよくない」「待たされている感」を感じる。
ダッシュ移動がない。
ロードが遅い。
スキップが出来ない。
UI等の階層が深くて、たどり着きたい位置に毎回潜るのがめんどい。
オートセーブや、情報が記憶されていなくて、1からやらなくちゃいけない。
つまり、やりたい事をやろうとする際に「待たされたくない」「時間をかけたくない」という事です。
待っている時間や、時間のかかる操作をするのはつまらない・めんどいですからね。
この辺りは、毎回開発する際に、自分でも気をつけている点ですね。
□ バグがてんこもり
見た目系のおもしろバグは、笑いに繋がるので、不快に繋がりにくいですが、フリーズバグであったり、ユーザーにとって不利益になるようなバグというのは不快な要素ですよね。
先程の項目と合わせて、バグが多い、という事も評価を下げる1要因かと思います。
最初に記載した、こちらの「減点部分」ですね。
せっかくゲームとしては面白いのに、バグだらけで、ゲームの魅力を損なってしまっている、という事例はあるかと思います。
プログラマーとしては、可能な限り、ユーザーにとって不利益になるようなバグは全て潰したい想いですが、なかなかそうならない事もあるので申し訳ないです。
■ おわりに
以上が、自分の考える「ゲームの評価を下げる要因」についてのお話でした。
上記のような要因がなければ神ゲーか、というとそんな簡単な話ではないと思いますが、こういった減点要素を取り除いていかないと、神ゲーにはならないかな、と思っています。
ご覧頂きありがとうございました。
それでは今回はこのへんで。
もしサポート頂けたら いつか個人開発をする時に使わせて頂きます!