【宇宙】なんで世界には”ペア”がたくさんあるの?
1.宇宙に存在するたくさんの”ペア”
この宇宙には数多くの相反する対やペアが存在します。例えば、次に書いたようなものです。
①言葉や概念の世界にあるペア
・陰と陽(易経・占い)
・善と悪
・過去と未来
・天国と地獄
・実数と虚数、偶数と奇数(数学)
②生き物の世界にあるペア
・雄と雌——実際は性別が3つ以上ある生き物もいるらしい——
・ざっくりとした生き物の体(外見)の左右対称形
③物理の世界にあるペア(双極)
・+と-(電気)
・N極とS極(磁気)
・↑ と ↓(原子内にある電子のスピンの向き)
・物質と反物質、粒子と反粒子
などなど
自分が気になっているのは、これらのペアがなんで生まれてきたのか?ということです。おそらく、最初からそうだったわけじゃないと思うんで、ここからは物理の切り口から、その理由を探っていきたいと思います。
2.【物理】ペアでいると都合がいい時がある
ペアが生まれた理由のヒントが物理の世界に転がっていました。2つの水素原子(H)から水素分子(H2)ができるプロセスを見てみましょう。
物理では、電子はエネルギーの小さい軌道から収まり、また1つの軌道に電子は2つしか入ることができないというルールがあるので、矢印(↑ ↓)で描いている電子はスライドのように配置されます。ここからは、算数の時間です(より専門的な解説はWikipediaにあります)。注目すべきは、横線で描いた電子が収まる”軌道”(——)のエネルギーの大きさです。例えば、こういう数値にしてみましょう。
水素原子の軌道エネルギー値 = ふたつとも20
水素分子の軌道エネルギー値 = 上30、下10
こうすると、水素原子はエネルギー20の軌道に1個ずつ電子を持っているので20×1+20×1=40、水素分子はエネルギー30の軌道が空で、エネルギー10の軌道に2個電子を持っているので30×0+10×2=20となりますね。
水素原子=20x1+20x1=40
水素分子=30x0+10x2=20 (20少なくなった!)
トータルしてみると、水素分子の方が20だけエネルギーが少なくなりました。このことを物理的に言えば、2個の水素原子が反応して水素分子を創ると安定して存在することを意味します(逆に不安定だったら水素分子はすぐにバラバラになってしまう)。
この例から言えるのは、軌道が1つずつあるよりもペアになっていた方が安定して都合がいい時があるということですね。
3-0.【ほぼ論理の飛躍】「ペアでいると都合がいい時がある」を宇宙レベルに拡張して想像してみよう
それでは、宇宙レベルでペアになった方が都合がいいのか予想してみます。ネットを調べれば初期の宇宙は超高密度・超高温の火の玉からはじまったと書かれています。おそらく宇宙誕生直後は無数の種類の素粒子が作られて、それらは安定を求めてたくさんのペアを作ったんだろうと思います。ペアになった素粒子同士からはやがて原子が生まれ、その結果として現在の電気の+・-や、磁気のN極・S極が残ったのだと考えられます。
3-1.【ペアになれなかった?】重力
物理の世界における4つの力のうち、人類が統一できずに最後に残ったのが重力です。下のスライドに描いた通り、重力は他の3つの力(電磁気力・強い核力・弱い核力)に比べると信じられないくらい弱いです。その理由は5次元以上の高次元空間に重力が逃げているためだと言われています。
個人的な想像では、重力以外の力はどれも+-などのペア(双極子)を具現化したことで強力になったのに対し、重力はそのような力を伝達するペアを作らなかったために弱いままになってしまったのだろうと予想しています。
そういえば、2020年になっても重力の素粒子、重力子(グラビトン)はまだ発見されていませんよね。重力の取り得る数値はゼロかそれ以上のしかないことから、重力子と反重力子がペアを組むことは考えられないので、見つかっても重力子だけになるでしょうね。
あと、"ゼロかそれ以上の領域しか持たない” という意味では、(力ではないですけれど)時間や空間も本質的には重力と同じなのかもしれないなと思いました。
3-2.【訳ありペア】物質と反物質
しかし、中には(先ほどの水素分子の軌道のエネルギー値が違うように)片方は安定でもう一方は不安定であるような対等ではないペアが生まれる可能性も考えられます。仮に、そういう訳ありペアを ”非対等ペア” と呼ぶことにしましょうか。宇宙誕生直後に生まれた非対等ペアは両方とも消滅してしまったものもあれば、片方だけが多く残っているものもあるでしょう。
1項③で触れた物質と反物質は片方だけが多く残っている非対等ペアで、現在の宇宙は物質だらけになっています(最近、雷で一瞬だけ反物質が生まれることが分かったようです)。こうなってしまった理由は、反物質がほんの一部だけ物質に変換されて、物質と反物質の存在比が50:50から揺らいでバランスが崩れたからだと言われています。その結果、何もない空間だけになるはずの宇宙は思いがけず物質に満ちあふれた世界になりました。
個人的な想像では、物質だけが残ったのは、反物質は物質よりも不安定だった(=宇宙に存在できる寿命が短い)から自ら安定になろうとして物質に変化したんじゃないかと思っています。いわゆる対称性の破れの一種で、宇宙の創造主がいかに「物質と反物質を対等ペアにしよう!」と設計図を描いても、実際に創ってみたペアはその意思に反して非対等な性質を持っていたということでしょうね。
3-3.宇宙の外側は”反宇宙”で反物質があるかも?
以前、宇宙の外側ってどうなってんの?という宇宙知識の乏しさ全開のNOTEを書きましたが、今ではこう思います。
「ペアの方が都合がいい」を宇宙自身に当てはめると宇宙の外側には時間や空間という次元が存在しない ”反宇宙” があって宇宙とペアを作って安定化しているかもしれません。あるいは、時間と空間の性質が異なる反宇宙があるとすればそこには反物質が大量にあふれ、逆に物質はほとんど存在していないという可能性もありますね。
この宇宙は加速膨張しているので、反対に反宇宙はその分収縮しているか代わりとなるエネルギーを何らかの形で伝達してトータルバランスをとっているはずです。そう考えると、多元宇宙(マルチバース)という考え方もできなくはないなと思えるわけです。
4.超ざっくりしたまとめ
この世界にはペアがなんで生まれてきたのか?を考えて来ましたが、物理的な見方をした結果、ペアを作った方がより都合がいいという結論になりました。もし、宇宙自身もペアを作っていたら多元宇宙論も否定はできなさそうです。