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一次創作小説倉庫(灰音ハル)

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小説置場です。140字関連、掌編、短編、長編とジャンルばらばら。お好きにお読みください。
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2023年5月の記事一覧

【小説】魂の少年カガミ3

【小説】魂の少年カガミ3

GWも終わってしまいますね。つづいています。

 一話
 二話

 僕とギルバートは、リタリスにバレないように静かに彼の家をまわった。そもそも、そこまで大きな家ではなかった。だから、時間はかからなかったように思う。そして、後はリタリスが眠っている筈の寝室しかなくなったとき、ギルバートは言った。
「外に倉庫があった。そこを見よう」と。
 その言葉通り、僕とギルバートは静かに家を出て、改めてリタリスの

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【小説】魂の少年カガミ2

【小説】魂の少年カガミ2

つづきました。

 一話

「兎に角、俺が覚えているのは、自分が魂だけの存在になって、びぃ玉に取り付いていたことぐらいだ。そして、恐らくはお前が俺をびぃ玉から取り出した」
「まさか、僕はびぃ玉の中に人がいるだなんて思ってもいなかったし」
「偶然だとしても、そうとしか思えない。それに、お前は虚影の家族なんだろう? 虚影と似たことができたとしても驚かない」
「……」
 確かに、虚影が過去に彼――ギルバ

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【小説】魂の少年カガミ

【小説】魂の少年カガミ

 なんか書きたくなったので。

 ある日、僕は火を見た。密やかで慎ましい火だった。その火が風に揺られると、たちまち一面が火の海になった。直ぐ目の前、僕の鼻先まで近づいた火は、だけども僕を燃やしはしなかった。ゆらゆらと揺らめく炎は、僕を中心にして、放射線状に広がっていく。それを、僕は宙から眺めていた。おかしいな、僕はあの炎の中心にいた筈なのに。ふと、僕の手に何かが触れる。それは、青く透き通った丸い粒

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