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あなたはやっぱり本屋さんでカバーをつけてもらいますか?

この夏は暑かった。
暑いとクーラーの効いた部屋に篭ることになる。
部屋に篭ってやることといえば、そうです、シムシティ読書です。

と、いうことで今年の7月から9月にかけてはガシガシと本屋さんを訪れた。そしてはじめましての本屋さんでは必ず書店謹製のカバーをつけてもらいました。

だいぶ溜まったので「あれ?これ、どこの本屋さんだっけ?」となる前に公開します。書店カバーシリーズ第3弾です。

第1弾はこちら!

調子に乗って書いた第2弾はこちら!

さらに調子に乗ってお送りする第3弾は都内にお店を構える小さな書店を中心にご紹介いたします。

■タロー書房

タローと聞いて「ウルトラマン No.6!」と叫んでしまうあなたは少年少女合唱団みずうみの一員ですね。そして「キダ・タロー」を思い出すのは主に関西人のはず。「タローっていったらお前、それはゆで太郎だろ、な!」という人は立ち食いそばに行き過ぎです。

そうじゃない。

タローといえば「グラスの底に顔があってもいいじゃないか…」で有名な岡本太郎先生でキマり!であります。

最近では『TAROMAN』人気で再び脚光を浴びつつある岡本太郎先生。かなりアグレッシブでアバンギャルドな芸術家、というイメージでしたが、まさか日本橋のど真ん中で書店を経営されているとは…

というのは嘘で、こちらのお店の初代店長が同じ名前だからというだけで岡本太郎先生にロゴ制作をお願いした、というエピソードを持つ書店、それが『タロー書房』です。

ブックカバーはこちら!

芸術は、爆発だ!

ね、これはもう、岡本作品といえるでしょう。ロゴだけでなくブックカバーにもタローテイストがビンビンに。これ、デザインは誰なんでしょうね。まさか太郎先生御本人?

こちらタロー書房ですがコレド室町地下一階に位置する個性的な棚の書店。東京メトロ半蔵門線・銀座線「三越前」の駅直結なので暑い夏も、またゴリラゲイ雨の日も快適に立ち読みできます(買おうね!)。

ちなみにブックカバーは上記のものともう一種類から選べます。でも二冊同時に買って別々のカバーにはできないので要注意。僕はそのルールを知ったことで結局三冊買うことになりました。いいんですけど。

これまた個性的なカバー

ネットで調べるとこちらのカバーは水戸岡鋭治先生によるものらしい。水戸岡先生は九州新幹線「つばめ」のデザインで知られる大家で、タロー書房の内装も手掛けているそうです。

岡本太郎に水戸岡鋭治。タロー書房にはアーティストを惹きつける引力のようなものがあるのでしょうか。

■山陽堂書店

表参道の交差点にひっそり佇む老舗書店、それが『山陽堂書店』です。外壁には一面、壁画が描かれているので「この建物はいったい…」と昔から思っていました。

どれぐらい昔かというと上京したての頃だからいまから38年前。だけどこのお店は1891年創業だから133年前から青山でお店を構えているわけ。すごくないですか。僕の上京はおろか明治神宮より古いんだよ。

当然、小幅な移転や建て替えもあってさすがに133年前の建物ではないのですが店内に漂うえも言われぬ居心地の良さ。ここが表参道の交差点とは思えないゆったりとした時のうつろい。歴史を感じされるには十分です。特にほしい本がなくても行きたくなるほど(買おうネ!)。

3階にはカフェもあるみたいです。僕は行きませんでしたが。

そしてここのブックカバーがすごいんだ。僕の中で永遠のナンバーワンだった青山ブックセンターに迫る、というか超えた?

かの和田誠さんのデザインなんですよ!!!

住所と電話番号も入って10円!やすい!

最初そんなこと知らなくて店番のおばさまに「カバーをお願いします」と言ったら「一枚10円だから2冊で20円ね」と言われ、一瞬「ん?お金を取られるのはじめてだ。全然いいし、むしろそれがいいけど」と思った。

で、カバーを眺めつつなんかおかしなイラストだなーって思って、全然意識せずに持ち帰ったんです。家に着いて、さてと、とあらためて見たらどこかで見覚えのある絵柄。おやこれはあなた、和田誠さんではありませんか!

これが10円!?やすい!安すぎる!俺の原稿料ばりにリーズナブルです。

ちなみにせっかくなのでこの近辺にゆかりのある村上春樹さんの文庫を2冊買いました。
やれやれ。

■LIBRO

小さい書店を中心に~とか言いながら割合大きめなところも紹介しちゃうのがこの企画のゆるくていいところ(自画自賛)。と、いうことで『LIBRO』を取り上げたいと思います。

LIBROといえばかつて池袋を根城に英華を極めた大セゾングループ帝国における文化戦略の最右翼とされた大型書店でありました。

若かりし頃、僕にとって池袋の西武百貨店やセゾン美術館のあたりは生まれ育った名古屋にはない文化の香りがプンプン匂う、一種スノッヴなエリアでした。

無印良品でポール・ニューマンのパスタソースを買い、地下でつながる書店で洋書を立ち読みする…そんなエスタブリッシュでニートな午後三時の舞台となったのもまた、LIBROでありました。

そんなイキリ倒したポテトボーイも夜になれば埼京線で赤羽まで、京浜東北線上りに乗り換えて東十条で下車。駅から徒歩20分築35年家賃2万4千円の四畳半に帰るんですけどね。急がないと銭湯がしまっちゃう。

さてLIBROですがいまでは日販の傘下となり、イオンとかそういうところに出店しています。イオンとかそういうところにはスノッヴな香りは漂いません。

どっちかっていうとチョコでベタベタの指で絵本を立ち読みするキッズや週刊大衆の袋とじグラビアを指でひらいて除くマイルドヤンキーが生息するチバラギ仕様になってしまいました(買おうゼ!)。

ブックカバーも言葉少なめ

こころなしかブックカバーも無口というか、主張することがないというか。シンプルの極みです。でもこれはこれで嫌いじゃないぜ。

ちなみに僕が本を求めたLIBROは江東区南砂にある大型ショッピングモール『SUNAMO』でした。いつの間にかモールの似合う本屋になったんだね、とかつて輝いていた彼女の面影を追いかける僕なのでした。

■恭文堂書店

東急東横線に学芸大学駅という駅があります。でもこの街に学芸大学はありません。でも学芸大学附属高校はあります。ああややこしい。

そんなよんどころない事情を抱えた(大げさですね)学芸大学という街にひっそりお店を構えるのが『恭文堂書店』さんです!今回取り上げる書店の中でも最もミニマムかな。町中華のような、町書店です。

でもですね、立地は最高にいい。駅の目の前で商店街のスタート地点にあります。そして民度がわりかし高めの目黒区民の知的好奇心を満たす役割をも担っている、というと言い過ぎでしょうか。

いかにも町の本屋さん

ブックカバーはなにげにかわいい感じです。オレンジがあったかい。素朴な印象を与えてくれます。こういうのも嫌いじゃないんだよなー。

みなさん学芸大学でデート、なんて時にはぜひ待ち合わせスポットとしてご活用ください(買おうよ!)。

◾️くまざわ書店

以前勤めていた会社に「くまざわ」という女性がいた。見るからにテキパキとしたかんじの、カラッとした性格の子だった。

僕は彼女を「くまちゃん」と呼んでかわいがっていた。いまなら女性社員をかわいがるなど言語道断だろうが、当時は咎められなかった。

やがてくまちゃんも年頃になり、職場の同僚(先輩だったかもしれない)と結婚した。

僕はくまちゃんに「幸せになれよ」と言った。

あれから20年。

町で『くまざわ書店』を見かけるとつい、くまちゃんのことを思い出す。そしてくまざわ書店で買った文庫本のカバーを見るにつけ、また思い出す。特に彼女に特別な思いも、またスペシャルな思い出もないのだが。

どことなく素朴なカバー

そんなくまざわ書店、首都圏中心にほそぼそと店を出している書店かと思っていました。実際に2店舗ぐらいしか知らなかったし。

ところが調べてみると八王子を本拠に100年以上の歴史を誇る書店で、系列のグループ会社を含めると全国に220店(2023年9月末時点)を展開するかなりビッグなブックストアでした。

何事も先入観っていうか、自分のものさしだけでものを見てはいけませんね。くまざわ書店さん、ごめんなさい。くまちゃん、元気ですか(変なこと思い出してないで買おうな!)。

■八重洲ブックセンター

日曜日の昼呑みが趣味です、という方ならわかってもらえると思うのだが、オフィス街には休日の昼から酒を出す店が少ない。だいたいオフィスが休みだから店自体が開いていないんですね。

そんなわけで西新宿や丸の内、神田、大崎あたりはあまり足が向かないが東京駅だけは別です。

東京駅周辺には日曜だろうが台風だろうがオープンと同時にどうぞどうぞと酒を提供してくれる店がたくさんあるんです。

そのうちの一つ、八重洲地下街にショップを構える『アンテナアメリカ東京』はアメリカのクラフトビールをずらりと揃えたアル依症さん垂涎のテイスティングルームです。

その日も僕は「でへへ」といいながら朝から苦くておいしいIPAをごくごくやっていました。

で、ふと通路側に目をやるとなんと!そこには!

本屋さんがあるではないですか。

それが『八重洲ブックセンター』です。

あれ?八重洲ブックセンターって閉店したのでは?というあなたは本屋好きですね。そうです、八重洲ブックセンターの本店はせんだって再開発のあおりをうけて閉店したのですが、そのレガシーを受け継ぐ店が八重洲グランスタ地下にオープンしたんです。

僕は度数の高いアメリカンIPAの酔いにも押されてフラフラと書店に吸い込まれていったのでした(酔ってないで買えよ)。

さすが八重洲ブックセンターのDNAともいいますか、箱自体は72坪と決して大きくはないんですが、棚が結構個性的でエッジが効いています。タロー書房にも通じる感じですね。このあたりの好感度ビジネスパーソンの知的好奇心をガッツリ満たしてくれるんじゃないでしょうか。

ブックカバーはこれ!

あれ?どこの?

八重洲ブックセンターというより青山フラワーマーケットみたいなデザインですが、ひっくり返すと小さな声で主張してきます。

おいす!

ね、控えめながら主張してくるでしょう。なかなか個性的なブックカバーであったのでした。


と、いうことで今回はここまで。前回から3ヶ月ほどのインターバルと考えると結構がんばって集めた感ありませんか?ないですか。そうですか。

最近では新刊が出る度に意地でもどこか別の街の書店で買うぞ、と意気込むなど手段と目的が完全にひっくり返っていました。おかげでササキアイさんの『花火と残響』がいつまで経っても買えなかった。

(こないだしびれを切らせて渋谷のHMVBOOKで購入しました)

相変わらず馬鹿だなあ、と自らを省みた次第です。いい本は見つけたらすぐ買え、ということですね。ブックカバーはそのあとの問題。

なので次回まではしばらく時間があくとおもいますが、みなさん、どうか忘れないで。書店ブックカバーnoteのことを覚えておいてくださいな。

チャオ!

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