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【詩】再生


たまご色のやわらかな光がぼんやりと浮いている
埃っぽい部屋の中で
泣いていた君を見ていた、という
いつかの記憶

ラジオは今も壊れたまんまだと言っていたが
ほんとうだろうか

消えたいなんて思わなくても大丈夫、
半月の夜に、
君は一度消えているのだから

焼け跡に見つかった乾いた涙の筋は
花を添えてももう遅くて
絶え間なく
濁った水が
すぐ近くまで来ている

君が生まれてきたことを
今日
僕は信じられないほど静かな気持ちで
大したことのないささくれをいじりながら
嘘だったんだろうと
思っている

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