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ギリシャ旅行記06〜島に逃げたい女達の逃避行〜

【第5話はこちら↓】

日が落ちてきた街を2人でフラフラと歩き、店などをまわる。さすがにオフシーズンとあって開いている店はほとんどなかった。しかし、どこを歩いても絵になる街だ。
ゆっくりと日が落ちるにつれて島の表情も変化してゆく。白い壁は太陽の表情を映しだし、島全体が赤く燃えるように光っていた。海の方遠くに目をやると島の端が見える。さらに遠くには小さな島が1つ。360度海に囲まれた世界では、海が永遠に続いてゆくように感じる。そこには時の流れが無く、生と死も存在しない永遠の世界だ。

ジャスミン茶

日が完全に落ちる前にホテルへと戻った。部屋のバルコニーから日没を眺める。
サントリーニ島は猫が自由に歩き回れるようで、猫も一緒に夕日を見ていた。なんて贅沢な猫だろうか。白い毛の小さな猫はとても人懐っこくて、島の人達に愛されているのを感じる。

3匹で夕日を眺めながら話をしていると、日が落ちて辺りは真っ暗になった。海はもう見えない。

さて、ここからが本番だ。

私たちは、ワイナリーで買ったワインに合う食べ物を探しに街へ出た。少ない街灯を頼りに道を進んで行く。サントリーニ島の夜は、風が心地よく頬をかすめるものの、冷たさを感じることはない。5分ほど歩いたところで小さなお菓子屋さんを発見した。

カラフルなチョコレートのタブレットやマフィン、ケーキが並んでいる。私は、スポンジの上にたっぷりとのせられたチョコレートクリームのさらに上からチョコチップがかけられたいかにも血圧が上がりそうなお菓子を買った。

またしばらく歩いてスーパーマーケットを発見。そこでバゲットと生ハム、チーズを購入しホテルへ戻った。部屋で白ワインを片手に一晩中しゃべり続けた。

ギリシャから家に帰る道の頭の中にいったいどんな考えがあったのか、正直覚えていない。行こうと思ったきかっけは明るいものではなかったけれど。あんなに美しいものが地球に存在したなんて。やっぱり旅はまだ知らぬ自分を見せてくれると心から思った。

サントリーニ島の景色をみれば後悔なく消えれるかとも思ったけど、結局私が今生きてこの本を書いているってことは、何かきっと他のものを見つけられたのかもしれない。

なんて、実際そうだったかなんてわからないけど。つかの間の逃避旅行だった。

ギリシャの海を眺めていると、生と死のない永遠の世界をみれた気がした。時の流れもない世界。ふと兄に「本当に天国はあると思うか」と聞いたことがある。「人は永遠を生きることはできないのに、天国
は永遠なのか。今が永遠に続くとなるとそれは苦行だと思う」と言ったら、兄は「天国の時の流れはいま私たちがいるものとは違う永遠だ」言っていた。あのギリシャの海でみた景色に感じた「永遠」と同じようなものではないかと私は信じている。

サントリーニ島編

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