『わたしの美しい庭』


図書室で予約しててやっと借りれた1冊🔅

本屋さんで初めて見つけた時から、ずっと綺麗な表紙だと思ってた、

凪良ゆうさんの『わたしの美しい庭』を読みました。
ついさっき2回読み終わりました。読みたてほやほやのこの今の気持ちで感想を書きたいと思います〜


ネタバレありです。
読む際は自己責任でお願い致します🔅
あくまでも1個人の感想ですのでご注意ください。


この本は「縁切り神社」が屋上にあるマンションの住人たちのお話。群像劇の本ですね。


1番最初の主人公は小学生の百音 (もね)。



百音は血の繋がっていない 統理 (とうり)と二人暮し。

朝になると同じマンションに住む 路有 (ろう)がやって来て、3人で一緒に朝ごはんを食べるという 少し『変わっている』生活を送っています。

百音は5歳の時に両親を亡くします。
このままだと養護施設に行くことになってしまう百音のことを引き取ったのが、百音のお母さんの元旦那である統理でした。

統理と百音の間に『親子』という関係はなくとも、そこには確かな強い繋がりがあることが物語の節々から感じられます。

統理は『子供だから』と物事をはぐらかすようなことはせず、多少難しくても論理的に百音に説明します。そこには不器用かも知れないけど、確かに伝わる百音への愛情や、人への優しさが詰まっているような気がします🤔💭

統理と路有が百音のことを子供扱いせず、ひとりの人間として向き合っているからか、百音は自分の意見をしっかり持ち、それを言語化することが得意だなあと思いました。

大人っぽさの中に子供らしさも残してて、すごく可愛らしい女の子!オシャレが大好きらしく、4万円超えの可愛いワンピースが欲しかったのと言っているシーンもありました。そのワンピースの説明も、黒地にレモン柄で緑色のサッシュベルトで締めるんだぁって…ワンピースが可愛いのが伝わってくる…!


2番目に出てくる主人公は桃子 (ももこ)。

百音と同じマンションの住人で、医療事務の仕事をしている40歳の女性。彼女は独り身で、母と共に暮らしています。


個人的に私は桃子さんのストーリーが1番印象に残っています。


彼女が結婚をしていなかった理由というか、彼女がこれまでずっと自分の心に蓋をしてきたものと言うか。

物語が進むにつれてそれがどんどん姿を現してきて、路有の言葉がきっかけで ぶわあっと一気に明かされる。

桃子さんが高校時代に付き合っていた人の存在。桃子さんの彼氏 (坂本くん) はとても人気者で、いつも輪の中心にいる太陽のような人だったと描かれています。

一方桃子さんは大人しく控えめな人で、周りの同級生たちからはどうしてこの2人が、とも思われていたみたいです。

桃子さんと坂本くんはもともと幼なじみで、こっそりデートをする時はマンションの屋上庭園が定番。

桃子さんと坂本くんは本当に幸せが溢れる毎日を過ごしていましたが、浴衣を着て行くと約束をしていた夏祭りの日。坂本くんは交通事故にあい、かえらぬ人となってしまいました。

1度も袖を通すことがなかった浴衣。
坂本くんに見せるはずだった浴衣。
これからも続いていくはずだった幸せな日々が一瞬にして崩れた、その象徴がこの浴衣だったのではないかと思います。

今まで普通に元気だった大事な人が急に亡くなることの辛さは想像を絶するものでしょう。それからずっと、誰にも話さず、桃子さんは幸せだった思い出までにも蓋をして生きて来たのです。大好きだった坂本くんの笑顔を忘れてしまうほどに。

辛い。消化しきれない、やるせないことだなあ。

桃子編では、過去と向き合う ことで前に進んでいく というところが強く描かれていたのではないかなあと感じます。ずっと見ないようにしていたものをちゃんと見て、確かめて、思い出を噛み締めてながらちょっとずつ前を見て、進んでいく。


3人目の主人公は 路有 (ろう)。

百音の紹介のところでも出てきた人ですね。バーを経営しています。
彼は同性愛者で、付き合っていた彼氏(もう夫婦同然だった)が「女性と結婚する」という手紙を置いて居なくなった という過去あり。うーん、辛い。

路有編ではこの元彼氏さんを巡ってストーリーが進んでいきます。路有は桃子さんのパターンとは違って、「今と向き合う」感じが強いです。

この本、桃子さん然り路有さん然り、強いひとが多い。というよりも、強くならざるを得なかったのかなあ と思います。


4人目の主人公は (もとい)。

彼は 桃子さんの亡くなった彼氏(坂口くん)の弟です。

彼は準大手ゼネコンに務めていましたが、体育会系の会社で無茶振りは当たり前、早朝出勤、深夜まで残業、休日も出勤と、そんな過酷な環境で働いているうちに心身を壊してしまい、うつ病の診断を受けました。

幼い頃の彼を知る桃子さんは、よくお兄さんの真似をする子で、真面目で泣き虫だったと話します。
いつも場の中心にいた兄の影を追いかけ、そして両親も基に兄を重ねる。祖父にも、「おまえは兄の分まで生きるんだ」と言われ、きっと基の中のどこかには兄の存在が必ずあったのだろうと思います。

基の彼女の真由との話も悲しい。
真由もうつ病の基のことを気にかけていて、負担にならないようにといつも気を配ってくれていましたが、結局ふたりは上手くいかなかった。
基が東京の真由の元へ行った時、真由の友達が家に来ていて。地元のケーキ屋さんで買ったものを持っていったけれど、誰も美味しいとは言わず、素朴な味などと無難な評価。基は虚しいと言っていたけれど、私もここを読む時はすごく辛かった。

基も、真由も悪くない。悪いのは病気で、病気の理由は会社で社会。こんな社会おかしいよなあ、仕事でうつ病になっちゃう社会なんて。

真由と別れたあと、基が路有のバーで飲んで全てを吐き出すシーンがあります。迷惑かけて、すんません。と、今まで関わってきたみんなに謝るんです。あなたは何も悪くないよ、しんどいなあ。。
人の心って、案外脆い。ギリギリのところまで行くと、感覚が麻痺しちゃって、そこからまた無理してあっという間に壊れちゃう。

ちょっと悲しい話になってしまいましたが、もちろんこれだけでは終わらないですよ!

基は、百音、桃子さん、統理、路有とスイカ割りをしました。あの綺麗な屋上庭園で。
そうやってちょっとずつ心を取り戻して言って、最後は 

俺はもう一度、
こんな自分を愛してやろうと思えたのだ

と締められます。良かった!!基さん良かった!!


最後の主人公は、百音です。

長くて濃い夏休みが終わった百音。「思いやりとは何か」を考え、統理と初めてであった時のことを思い出します。

そして百音は、最後

毎日統理が手を入れ、守っている美しく善い庭。
私は、ここが、とても好き。

という言葉で終わります。
この一言に、たくさんのものが詰まっている気がします。
百音だけじゃなく、もちろん統理、桃子さん、路有、基にとって屋上庭園は自分の色んな思い出と、自分が立ち直った、新しいときを歩き始めた思い出が詰まっています。
これからもきっと、この屋上庭園は多くの人に愛され、記憶に残されるでしょう。


縁切り神社があって、色んな人が集まる、綺麗な屋上庭園。そこでのお話は、悲しさもあるけれど、美しい物語ばかりでした。


最後に


ここの本の登場人物たちは、色々な思いを抱えています。
百音は「変わってる」家庭、路有はセクシュアリティの問題、桃子さんは周りから圧力をかけられる結婚のこと、基はうつ病のことに対して。

私はどんな家庭があってもいいと思うし、セクシュアリティは人の分だけあると思うし、結婚はしようがしながろうが個人の自由で、本人が望まない限り他人が干渉すべきことではないと思う。
もちろんこう思わない人もたくさんいるかもしれないし、これはあくまでも私の考えだから、それでいい。

この「わたしの美しい庭」を読んだからこそ、見えてなかったことに気づけた。人にはそれぞれここまで生きてきた人生があって、思考があるんだよなあ。

綺麗な文章で書かれていて、とても読みやすくて、桃子さんのところでも書いたけれどすごく物語の流れが好きです。また素敵な物語に出逢えた。


初めてこんなに自由に読書間感想を描きました。結構時間がかかってしまったけれど、こうやってまとめることで さらにその本についてここはどうなんだろう、どうしてなんだろうって深く考えて、自分の考えも整頓された気がします。


長くなってごめんなさい!!

「わたしの美しい庭」、とても素敵な本でした。

この感想ブログの拙い表現や内容で 気分を害された方がいらっしゃったら申し訳ありません🙇

ここまで読んでくださって、ありがとうございました!!🥺



この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?