社会の死角で家を持て〜複雑性PTSD患者の上京記〜
私は性的虐待サバイバーである。複雑性PTSDという病気を10年前から患っている。
この病気を知らない人も知ってる人も、「ふ〜ん」というテンションで読んで欲しい。
「この文章を読んで救われた」なんて結構なことはいいから、カップラーメンの待ち時間にでも読んで欲しい。
できれば笑って欲しい。よく知らない名前の病気の人だって、「ついた嘘で自分の首を締める」という古典落語ではおなじみのエピソードで苦しむこともあるのだと。
レッテルを越えて共感してもらえたらいいな。
それでは、どうぞ。
〜ここから日記〜
上京4日目。いや3日目かもしれない。日付の間隔が無い。今日は面接予定のゲストハウスで、履歴書を見せる間もなく断られた。
理由は私が名前を詐称しまくったからだ。混乱するだろうな〜と分かったうえで改めなかった。なぜか。あまり分からないけど、暑くて荷物が重かったからかもしれない。働く予定なら面接まで住もう!と宿をとった。本来の名前、つまり戸籍上の名前で。
それがいけなかった。私は日頃通称名というものを使っており、面接の予約はそちらでしていた。
つまりどちらかに統一しなければいけなかった。そもそも後で身分証明書出すのに通称名を使う道理が無い。でもその時の私には必要だったし、自分の名前にまつわる過去が嫌だからこうして全部捨てて上京したのに、本名使わなきゃいけないとか辛すぎる。嫌だ。
私の名前は虐待者がつけた。男か女か分からないうちから。
そんなことはどうでもいい。
つまり今回の敗因は「やたらと身分を詐称する人間」だから怪しいと踏まれて働くには至らなかったのだ。
しょうがなくはない。こっちは自分の存在を懸けて生きているんだから、ガタガタ言わずに事情を聞くだけ聞いて欲しかった。
いや怪しいか!?ギリ怪しい!?ダメ!?
いいじゃん別に「マリアナ海溝より深いワケが〜」とか言いながら面接でスクール水着脱がなかったワケじゃああるまいし!
別に違法ではない。通称名はひろく使用が認められており、保険証とかも変えられるのだ。
……そっちを先に変えておけばよかったのか!?
いやどっちみち顔写真付きの〜とか言われたらアウトだし…。
まあそれはそっと傍らに置いといて。そう、まだ柔らかいから両手でだいじに包みこんでおいてほしい。カッチカチになったら鈍器としてテーブルに置くから。…危ない、今回の怒りが冷めやらず尖った思想が出てしまった。
今回は怒りが込み上げつつも、自分のアホさにも呆れた。素直に泣いていいんだろうか。私は他人が「おや…?」と思うような行動を「まァいっか〜」とGOしてしまうことがある。
ふだん冷静な判断を心がけている分、たまに自己検閲がユルユルになってしまうのだ。だからといって人生の大一番で出さんでもうて……。(絶望)
まあ泣いていいんだろうかと言いつつしっかり泣いたけど!マぜンガ喫茶の個室のティッシュを一箱使い切る勢いで、「違うんだこれは涙なんだ…!」と置き手紙をしたいくらいには泣いた。
やはり他人から拒絶されるのは悲しい。それが自分のアホさが由来だとしても、どうにもならない身の上が由来だとしても。
とりあえず頭を冷やして、次の一手を考えよう。
明日がある。少なくとも明日が来ませんようにと祈るばかりだった子どもの頃に比べたら。屁でもない、明日の朝にはやることが山とあるのだから。
きっと大丈夫。なんとかなる。
そう思いたい。
…あの後速やかにgmailの名前を通称名に変更したことだけは誇っていいと思っている。やらかした後にしっかり反省は、する!
零した水から芽が育つこともあるのだ。
☆ここまで読んでくれてありがとうございます。麺がズルズルになったら申し訳ない。覆水盆に返らず、ズルズルの麺は還らず。
やらかしは後の行動で変えるべし、そんなお話でした。
※コメントにてやらかしエピソードを教えて頂けると、筆者が助かります。どうか一つ。