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「ミセス・ハリス、パリへ行く」
本の感想。
「ミセス・ハリス、パリへ行く」
ポール・ギャリコ 著 亀山 龍樹 訳 角川文庫
「リンゴのような赤いほっぺたに、白いもののまじった髪、いたずらっぽい、いきいきとした小さな目のほっそりとした小がらな婦人が、英国航空のロンドンーパリ線の朝立ちのバイカウント機に乗りこみ、客室の窓におでこをぴったりとおしつけて腰をおろしていた。」
この書き出しで始まる「ハリスおばさん」の旅は、心をワクワクさせるお話で、読み終えるまでずっと古い映画を見ているような気がしていた。
ロンドンで家政婦をしている60歳間近のハリスさん(未亡人)は、仕事先で出会った「クリスチャンディオール」の服に一目ぼれした。年収に近いこの服がどうしても欲しくなって必死に給料を貯め、友人の心配をよそに、一人でパリに飛び立ったのだ。
他人がどう思おうと、「ディオールの服を買いたい」という、本人にとってゆるがせない夢を追い、年齢の高い女性が行動する。行く先々で様々な人と出会い、思わぬ展開。
アメリカ生まれの著者:ポール・ギャリコが1958年に発表し、日本版が出たのは1967年。60年以上前のパリってこんな感じだったのだなあ・・・と街並みや行き交う人々を想像するだけでも楽しい。
何歳になっても夢を持ち、行動する人の魅力を強く感じた本だった。
204ページの文庫本なので、ワクワクしている間に読み終えてしまった。
調べたら、映画もあるらしいので、是非映画も見てみたい。