「老いの福袋」
「老いの福袋」あっぱれ!ころばぬ先の知恵88
樋口 恵子著 中央公論社
昨年からの「外出自粛」で、読書はほとんどKindle版だった。
昨日、久しぶりに書店で購入。面白くて、一気に読んだ。
とても参考になった。正に、ころばぬ先の杖。
88歳になる人の感覚(身体状況)などを、本人の実体験を踏まえながら、暗くならず、よくわかるように書いてある。
「な~るほどな~・・・。」
今のところ、65歳の私はまだ大丈夫だが、〝和式トイレでの出来事〞は近未来のわたしたちだ。とても他人ごとではない。
樋口恵子さんのようにパワフルな人であっても、身体の老いは免れないのだな・・・、と至極当たり前のことにものすごく納得してしまった。
「まえがき」にもあるけれど、2025年(あと4年後だ!)には、「国民の5人に一人が75歳以上」、「3割が65歳以上」。
「どこを見てもおじいさんおばあさんだらけになります。」
私も常々、ウイークデーの昼間に買い物に行くと、ほとんどどこを見渡しても「おじいさんおばあさんだらけ」であることに驚いている。
あと4年後には、日本中、1日中こんな感じになるのか、と思うと、なんだか若い人々が気の毒に思えてきてしまう。
まあ、仕方のないことなんだけれど・・・。
だから、われわれ高齢者(?)は、これからどう生きていくのがいいのか、と言う話だ。
私自身も、あまり「高齢者」意識がないし、同年代の友人たちをみていても、決して「おばあさん」とか「高齢者」という感じはしない。
30年くらい前のお年寄りに比べると、10年以上若いんじゃないか、と思う。
体力的にも、軽度なスポーツジムへ行ったり、まだ仕事をしていたり、全然「年寄り」という感じはしないのだ。
しかし、著者の言うように、「75歳」を超えたあたりから、さすがに体が思うように動かなかったり、内科的にも外科的にも「故障」が増えてくるようには思う。
「ヨタヘロ期」とは、なんとわかりやすいネーミングだろう!!
「老いという未知の世界」へ冒険に乗り出す、と超前向きに生き、行動する著者に敬意と感動の念を深くする。
「ある日、バタリと死ねるわけではなく、ヨタヘロ期を通過して、何年も寝込むのが現実的」ということは、頭のどこかに置いておかなくてはならない。
今は、どんなに元気でも、10年以降もこの状態をキープできるかどうか、どんなに努力してもわからないのだな、と、謙虚になる。
「シルバーの『老働力』が、ゴールドを支える」っていうのが面白かったし、正に、その通り!とも思った。
「すべての道はローバへ通ず」。正に名言!!
「昔『命短し、恋せよ乙女』という歌がありましたが、いまや『命は長し、働けばあさん』です。」
「あなたも私も介護する人される人」
「国の存亡にかかわるからこそ〝介護離職ゼロ作戦〞(介護離職する人は、年間約10万人)」
「しんどいときは、我慢しないで」
「多くの人が長生きするようになった時代、誰かが単独で介護を担うのはどう考えても無理です。」「介護する側もされる側も〝ヘルプ・ミー〞を言おう」
著者は言う。
「介護を一人で抱え込まないで。同じ経験をしている人たちと悩みを分かち合い、情報を得ることで、解決できる問題もあるはずです。」
そして、力強い励まし。
「人は何歳になっても変わることができる」
「老年よ、大志を抱け!」
とても面白く、何度も笑ってしまった。笑いながらも、これからなにをしていけばいいのか具体的によくわかってきた。同世代の友人、知人に是非お勧めしたい本である。