中国の「金のなる木」について @東京国立博物館
東京国立博物館には、「東洋美術館」または「東洋博物館」とでも言うべき、すばらしい収蔵品を展示する「東洋館」があります。
今回は、その東洋館にある『揺銭樹』について、記しておきたいと思います。
『揺銭樹』を分かりやすく言えば「銭が揺れる木=お金のなる木」であり、解説パネルの英訳を見ると「Money Tree」とあります。中国の四川省またはその周辺で出土した、後漢時代(1〜2世紀)のものだそうです。
なんて即物的な……なんて驚くのですが、これは後漢時代のお墓に副葬されたものだそうです。死者が死後にもお金に困らないように……富に恵まれますように……または、死者の魂を天界へと導いてくれますようにと、そんな願いが込められたものだと考えられています。
『揺銭樹』というだけあって、枝分かれした“枝”または“葉”の部分を見ると、四角い穴の空いた円形がたくさん付いていますよね。これは、中国の典型的な銅銭の形なんだそうです。
銅銭のほかにも、鳳凰や龍……中国神話の女神である西王母など、天界の動物や神仙が飾られています。いや、飾られているそうなのですが……西王母がどれなのか、よく分かりませんでした。
鳳凰は分かりやすいですね。枝葉に描かれているほかにも、てっぺんにも鳳凰像が飾られています。
こんな複雑な造形のものを、よく中国から持ってきたなぁと思ったら、こちらは組み立て式になっているそうです。枝葉の一つ一つを取り外せるようになっているんですね。
いつも「すごいなぁ」と思いながら『揺銭樹』を眺めるのですが、ネットで調べてみると、中国では同様のものがいくつも出土しているようです。ちょっとした豪族クラスの墓の副葬品としては、けっこうポピュラーなものだったみたいです。
こんなのを、中国では1〜2世紀の人たちが作っていたんですよね。日本で言えば古墳時代以前の、弥生時代の頃ですよ。すごいな…。