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【らんまん】ネジバナの話がもう少し聞きたかったな
東京国立博物館は、知る人ぞ知る都心で様々な野花が見られるスポットでもあります……あと江戸城の内外も緑が豊富です。
そんなトーハクの……法隆寺宝物館の向かい側で表慶館の裏手にあたる場所で、6月頃に見られるのが【ネジバナ】です。
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昨日の連続テレビ小説『らんまん』では、牧野富太郎さん……槙野万太郎……が、地面に這いつくばって【ネジバナ】を見つめていましたね。そして「どうして、こんなに捩れて咲いているんだろ?」と言ったようなことをつぶやいていました。
【ネジバナ】を見ると、誰もが同じように不思議がるはずです。答えが書いていないかと、牧野富太郎さんの『牧野日本植物図鑑』を開いてみましたが、残念ながら、捩れている理由については触れられていませんでした。
ただ、せっかくなので、どんな風に記されているかを、下記します。【ネジバナ】は、【もちずり(盤龍參) 一名 ねぢばな】の項目に記されていました。
諸國ノ原野ノ芝地或ハ田畔ノ草中ニ多キ多年生 草本。地下ニハ白色多肉ノ紡錘根三四アリテ集ル。 葉ハ根生、斜開シ、廣線形ヲ呈シ、淡緑色ニシテ尖リ全邉、中脈ハ凹ミ葉底ハ短鞘ヲ成ス。夏日葉間ニ一●ヲ立ツルコト10-30cm、淡緑色ニシテ圓ク、上部ニ捩レタル穂状花序ヲ成シテ多數ノ桃紅色小花ヲ綴リ、其狀頗ル可憐ナリ。花軸ニハ子房ト共ニ立毛生ズ。花ハ側向、鐘形ニシテ平開セズ。花蓋片ハ卵状披針形ヲ成シ、脣瓣ハ淡色ニシテ倒卵形、上部ハ廣クシテ緣ニ微齒ヲ刻ミ且反卷ス。子房ハ橢圓形ニシテ上部側向シ綠色有毛ナリ。蒴果ハ橢圓形ニシテ細毛アリ。和名ノ捩摺ハ捩れ摺りノ意ニシテしのぶもちずりノ語ニ由リ其花ノもぢれ卷ケル狀ニ基キテ名(付)ケシ名ナリ。
一つ一つの花に関しての記載部分を太字にしてみました。
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現代語に近づけて見ると、以下のような感じです。
「上部に捩れた穂状の花序を作り、多数の桃紅色の小さな花を並べます。その形はかなり美しく愛らしいです。花茎には、子房と一緒に立毛が生えています。花は横向きで鐘形であり、開かずに平たくなりません。花の花弁は卵形で鋭く、唇弁は淡い色をしており、逆卵形で、上部は広く、縁に微かな歯を刻んで反り返っています。」
ちなみに『牧野日本植物図鑑』は、1つの草花につき和名と通称もしくは俗名というんでしょうか、それにラテン語風の登録名称、さらに上記したような説明文(190文字前後)が記されています。すごいのは……“図”鑑なので当然ですが……1つ1つにイラストが描かれていること。これが3,235図もあります。
わたしも野花には惹かれるものがありますが、こんな形でまとめることは、一生かけても無理だろうなと……。
今後、【ネジバナ】の捩れて咲く理由を、ドラマで言ってくれたら、うれしいなと思います。
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