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トーハクの《国宝 普賢菩薩像》が、久しぶりに国宝室に降臨

既に展示期間が終了してしまいましたが、東京国立博物館《トーハク》では、3ヶ年に及んだ解体修理が無事に終了した《国宝 普賢菩薩像》が、展示されていました。展示されていたのは、本館2階の「A-1」室。国宝が1点だけ展示されるため、「国宝室」と呼ばれることが多いです。

国宝1点のみが展示される本館2階の「A-1」室……通称「国宝室」

今回の《国宝 普賢菩薩像》ですが、国宝ということもあり、独り占めできる時間がほとんどなかったため、あまり多くの写真を撮れませんでした……いちおう気を使って、真剣に観覧されている他の人たちの邪魔にならないよう写真を撮っているため、注目度の高い作品は撮るのが難しいです。

あまり写真が撮れなかったということと、それほど興味もなかったということで、noteにも記していませんでした。

お邪魔して撮らせてもらいました……けど暗い……

それがですね……展示期間の終わって久しい今週になって、YouTubeのトーハクチャンネルに、この《国宝 普賢菩薩像》を解説した動画が、アップされたんです。毎回のことですが、展示が始まる前……というのは難しいにしても、展示期間中にアップできないものなのかなぁと……。おそらく動画制作会社を使って、きちんと作っているので難しいのでしょう……。

↑ 4Kの動画で観られるので、作品の細部まで綺麗に観られます。

そのオンラインギャラリートークの動画と同様、解説パネルは、担当研究員の沖松健次郎さんによるものでした。

それによれば「普賢菩薩は、濁って乱れきった世の中において、仏の究極の教えといわれる『法華経』を信仰する人の前に現れ、励まし、守護する存在として『法華経』に登場します」。(以下、「」内は解説パネルより)

逆に言うと、法華経の最終章『普賢菩薩勧発品』以外には記されていない菩薩様なんですかね?

「六本の牙の白象に乗った普賢菩薩が、今まさに、信仰する人の前に現れた情景が描かれます。『法華経』に説く「白玉色」を表現した菩薩の身体は、濃淡や太さの変化で肉身の立体感を表すしなやかな淡墨線で象られています」

白については、前述したYouTubeの動画の方が(PCやスマホにもよりますが)正確な色が観られると思います。少なくとも、上の写真のようなオレンジがかった色ではありません。

普賢菩薩の由来が法華経のみということであれば、描いた絵師なのか、プロデューサー的な人が、どう法華経を解釈したのかが、この絵に表現されているということになります。その誰だか分からない人の解釈によれば、菩薩と象の肌色は、ほとんど同じ、というのが面白いなと思いました。というのも、当時から「白」色の絵具は、複数あったと思います。この絵を見る限り、アンリ・マティスのように7色の絵具だけを使うと決めて描いたようにも思えません。菩薩と象の肌色を変えようと思えば、変えられたはずなのに、同じ色に見える。普賢菩薩と象は、切り離せないもの……普賢菩薩と象は一体……ということなのかもしれません。

その描き方を、解説パネルでは「北宋時代の仏画の技法をとり入れたものと言われています」とあります。

解説パネルではさらに「上質な顔料で彩られた衣には、髪の毛ほどの細さに切った金箔を用いた截金技法によって様々な文様が精緻に施されています。仏画でありながらなまめかしささえ感じさせる、ひときわ優れて繊細なこの作品は、平安時代12世紀の仏画を代表する傑作のひとつです」

と締めくくっています。少し引用の範囲を超えてしまいましたが、とても分かりやすい解説でした。これだけ高い評価をされている絵を描いた方なのですから、もしかすると著名な絵師によるものかもしれませんね。

それにしても、国宝室の今後のスケジュールを観てみると、6月6日からは、今回のと同時期(平安時代・12世紀)に描かれた、鳥取の豊乗寺の《国宝 普賢菩薩像》が展示されるようです。直接見比べることは出来ませんが、どんな違いがあるのか楽しみです……って、わたしに分かるのか? とも思いますけどね。

なんとなく……

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かわかわ
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