小4男子との香港旅行……3日目(レトロな喫茶店ほか)
香港旅行の3日目……香港系オーストラリア人のブライアンさんと再会し、遅めの昼ご飯……ワンタン麺……を食べた後に、わたしのリクエストで、カフェに連れていってもらいました。
ブライアンさんに「どこか行きたいところはありますか?」と聞かれて「ミルクティが飲みたいです」と答えると、「それではカフェにしましょう。どんなカフェがいいですか?」と聞かれて、「昔ながらのカフェがいいです。not modernね」と言うと「OK I see」と言ってGoogleマップで検索し始めました。結果が出たようで「じゃあこっちに行きましょう」と言って歩き出します。
着いたところは、日本人的な感覚で言うと、すんごい怪しい狭い路地の屋台の裏側に店の入口のある「咪咪(メイメイ)」というレストランでした。うわぁ〜、まさにこんな感じのところが良かったんですよ。今調べるとGoogleマップの口コミでは「あまり清潔ではない」とか「唯一の利点は駅から近いこと」的なことが書かれていて評価も高くないのですが、わたしはまさにこんなところに行きたかったのです。
店の前でブライアンさんが「ここでどう? 古すぎる?」的なことを聞いてきましたが、わたしは「This is very nice placeですよ。ここに入りましょう!」と言って入っていきました。
レストランって自称していますが、これはまさに昭和な喫茶店です。日本で言えば、タクシードライバーがたくさん集まりそうなところ。
↑ブライアンさんによれば、上のメニューの右下にある「港式西多士(香港式のトースト)」というのと香港式ミルクティやミルク珈琲のセットが、こうした店での定番だと言います。ただ、お腹はいっぱいだったので、今回は下のメニューの右下にある「香滑奶茶(ミルクティ)」というのを、わたし用にオーダーしてくれたのだと思います。ちなみに価格は16香港ドル(約320円)ですから、日本の喫茶店……ドトールやベローチェと比べても、安いですよね。
おそらく香港で最も行ってよかったと思える店だったにもかかわらず、あまりにも嬉しくて興奮していたせいか、うかつにもメニュー以外の写真をほとんど撮っていませんでした……。
運ばれてきた紅茶は、きちんと濃厚なミルクティでした。牛の絵と「Black&White(黒白淡奶)」という文字が特徴的なマグカップに淹れられています。
おそらく紅茶の茶葉を「これでもか!」というくらいにグツグツと煮込んで、その中に「Black&White(黒白淡奶)」というミルクを入れて、さらに煮込んで出来上がりという、かなり濃厚で雑な味の……一般的には全く美味しくないけれど、わたしにはとても美味しく感じられる味です。人生のこの先に、また香港に行くことがあって、その時にミルクティを飲んだら「あぁ〜、香港のミルクティってこれだよねぇ〜」と、懐かしくなるだろうな……というような味なんです。
ということで、紅茶を飲んでいる時、ブライアンさんに「どこか行きたいところありますか?」と聞かれたので、「このカップを買いたいです」と言うと、「ほんとに(笑)? わかりました、きっと売っているとおもいますので、探しにいきましょう」ということで、妻が別の用事に向かった後に、ブライアンさんと息子と3人でカップを探しにいきました。
で……ブライアンさんが「きっと、このショッピングセンターにあると思います」と言って入っていった店に……あまりにもあっけなく売っていました。
ただし150香港ドル(約3,000円)だったこともあり、ブライアンさんがわたしに気を遣ってなのか「もっと安いところがあると思います。探してみましょう」というので、改めて街中をぶらぶらすることにしました。
ショッピングセンターから出て、また街をぶらぶらとします。ブライアンさんは歩くのがとても好きな人。日本で彼は大江戸線の新御徒町駅の近くに住んでいたのですが、隔週くらいで、入谷と浅草の間にある台東区の生涯学習センターまで歩いて来ていました。春に隅田川の墨田区側の公園で花見をした時にも歩いて来たと言っていたし、うちの近所の祭りに参加した時にもやっぱり歩いてきたと言っていました。
わたしは自転車派なので、自転車を買うか、シェアバイクが便利だよと言っても「歩くのが好きです」と言っていたことを思い出しました。本当に好きなんだなぁ。
わたしも旅先で歩くのは大好きなので、ブライアンさんがスタスタと足早に歩くのは問題ないのですが、昼前から歩き通しだった息子は、おそらくうんざりしていたことでしょう。
街を歩いていたら、たびたび「ねぇ…どこに向かってるの? 疲れたよぉ」と呟き始めました。
息子がそんな様子なので「ブライアンさん、he is tiredだから、ちょっと休憩しましょう」と言いました。すると「休憩ですか? カフェに行きますか?」というので「いや、少しこのあたりで座らせてもらえばいいです」というと「OK」と理解してくれました。
それが下の写真の坂の通りだったんです。写真にHS Massageという看板があるマッサージ店だったと思いますが、その店先の道路よりも一段高くなっている場所に座らせました。いつもは「汚いから嫌だ」といって道端には座らない息子ですが、そうとう疲れていたのか、すぐに座り込みました。
店先でブライアンさんと息子が話していると…店の中からお姉さんが出てきて、通りの様子をうかがっているようでした。わたしは少し離れて写真を撮ったりしていたのですが、近づいていくと、お姉さんが不思議そうになのか じーっと息子のことを見ています。
近寄って行き、「Sorry…He is tired」と言うと、息子から視線を離さずに、うんうんうんと3回ほどうなずいて「いいですよ」という感じでした。それでも迷惑がられているかもなと思い「息子よ、そろそろ行こうか? 店の人に見られているし、もしかすると迷惑かもしれないから」と話しかけると…息子はまだ座っていたいらしく動きません。そしてお店のお姉さんも首を振りながら「座っていてもいいですよ」というようなことを、日本語で言いました。まさか日本語が話せると思わなかったので少し驚きました。
ブライアンさんは、次に行く場所を調べ始めて、少し離れていたので、わたしが「ありがとうございます」と言うと、また首を振って「大丈夫ですよ」と、笑うでもなく自然な感じというか当然という感じで答えました。そんな自然な雰囲気だったので「日本人がよく来るんですか?」と話しかけてみると、「はい、たくさん来ますよ」と。「へぇ…それは観光客ですか?」と言うと、「はい観光客もいますし、駐在…香港に住んでいる日本人も多いです」と。そうなんですね…と言いつつ、会話に参加せずに地図アプリと街とを一心不乱に見ているブライアンさんを指差して「彼は香港の人です」と会話をバトンタッチさせるように言うと、お姉さんがブライアンさんに「あなた香港人なの?」的なことを中国語で話していました(たぶん)。それでブライアンさんも中国語でばばばばぁと話し始めて……しばらくそこで過ごしました。
しばらくそうしてから、息子が立ち上がったので、じゃあ行こうかということになり、お姉さんに「ありがとう」と言って歩き始めました。
ブライアンさんは、思いついたところでもあるのか、またスタスタと歩いていきます。どこに行くというのも分からず、わたしは写真を撮りながら歩き、息子は黙ってついてきています。
そうして30分ほど歩くと、また息子が「疲れた…」と訴えるので、まぁこの時にはわたしも疲れ始めていたので、「ブライアンさん、またカフェにでも行きましょう。スイーツでも食べたいです」と提案すると「わかりました。それではここにしますか? ここは香港でvery popularな店ですよ」と言って入ったのが「2 CAFE」という、おそらくチェーンのカフェなのかレストランのような店でした。
ブライアンさんが、酥皮蛋撻王(Egg Tart・卵タルト)や椰絲菠蘿包(Pineapple bun)がおすすめということで、1個ずつ頼んでシェアすることに。あとは息子に、拍薑熱檸檬可樂(Hot Lemmon Coke with Ginger)を頼みました。メニューを見ながら「ホットのコーラってなんですか?」ってブライアンさんに聞くと「そのまま、ホットのコーラですよ。それにレモンとジンジャーが入っているんです」と。「ホット コーラって、香港では普通なんですか?」と聞くと「はい、Popularです。熱いコーラは体に良いって思われています」と笑いながら答えます。「へぇ〜、たしかにレモンもジンジャーも体に良さそうですもんね。息子よ、これにしてみるか?」って聞くと「じゃあそうする」というのでトライしてみることにしました。
ホット コーラは、少し飲ませてもらうと、ジンジャー味が強めの温かいコーラでした(笑)。美味しいかは別として、コーラ好きの息子も、「これさぁ…コーラの味がほとんどしないよ」と言いながらも、これを飲んでから少し笑顔が戻ってきました。
結局息子はEgg Tart(卵タルト)を2個と、メロンパンのような ふわふわのPineapple bunをほぼ1人で食べて、やっと一息ついたようでした。
そろそろ妻の用事が済むころかなということで店を出て、最初のショッピングセンターに戻り、例の香港式ミルクティや珈琲で使われているマグカップを買いに行きました。ついでに模型屋を見てまわりつつ…。
そして妻から用事が終わったという連絡があったので、ブライアンさんおすすめの店へ移動することにしました。場所は九龍(カオルーン)の油麻地駅の近くです。
この油麻地あたりがブライアンさんの本当の地元というべきエリアなのだそう。なかでもおすすめなのが、今回行った「興記菜館(Hing Kee Restaurant)」。煲仔飯…土鍋ご飯…の専門店ということで、香港ローカルの間ではかなりの人気店のようです。
行ったのは水曜の19:45くらいでしたが、店は満員なうえに店の前には数十人の行列ができていました。ブライアンさんはよく来るようでしたが、それでも「すごい混んでますね。この時間でこんなに混んでいるのは初めてです」と、心底驚いている様子でした。
おそらくかつては1店舗で始まったのでしょうが、今は並びの3〜4店舗が同じ「興記菜館」ということになっているようです。店の前は歩行者専用道路になっていて、そこにずらりと行列ができていました。
10-20分くらい待ったでしょうか。店の中に入ってメニューを眺めていました。メニューは中国語と英語のほか、半分くらいは日本語でも記されていました。きっと日本人にも人気なのでしょう。
というのも、この店、香港の映画監督、シャオシンチューの『食神』という映画で、ロケ地の一つだったそうです。『少林サッカー』や『カンフーハッスル』などで、一時期は日本でも大人気だった方ですよね。
そんな話をしているうちに妻が再び合流して、食事をオーダーしました。牡蠣のオムレツみたいなのと、鶏肉のなんかと、肉団子スープと…それにうなぎの土鍋ごはんです。
どれも日本人にもおすすめ的な感じでメニューに記されていたものです。好き嫌いの激しいわたしでも美味しく食べられました。特にうなぎの土鍋ごはんは美味しかったです。
うなぎはぶつ切りにされていて、骨もあって食べづらいのですが、味は確かにうなぎです。うなぎ用のソースもまた日本の蒲焼のたれみたいな味です。
食べ終わってからもだらだらと話していたら、「もう食べ終わったんなら早く出て行っておくれよ! まだ外にはたくさん待っている客がいるんだよ! まったく困った客だねぇ〜」と、ものすごい剣幕で怒られました。
映画『食神』の話をしていたので、おそらく家族経営の店のスタッフを見ていると、この激怒していたおばあちゃんも、もしかするとカンフーの達人なんじゃないかな? なんて想像していたら怒られたのでした。
ということで「じゃあ近くのカフェでも行きますか?」ってことで、そこでまでなんやかんやと食べて、ブライアンさんとお別れしてホテルへ帰りました。
次の日…4日目は、息子が10時くらいまで起きられず、少し無理やり起こしてホテルの朝食ビュッフェを食べて、12:00くらいにチェックアウトして香港の国際空港へ向かいました。
ということで、香港旅行についてのnoteはこれにて終わります。
いやぁ〜…正直言うと、中華人民共和国に飲み込まれつつある香港って、もう行くこともないだろうなぁって思っていました。色々と中華人民共和国の秘密警察や検閲などがあるんじゃないか? みたいな不安もありました。けどテレビ検閲もないようで、BBCやNHKを見ていても、途中で画面が切り替わって停止する…みたいなこともありませんでした。もちろん本土と違い、Googleなどのサービスも、各社のメールを始めとするWebサービスもVPSなんかを経由せずとも普通に使えました。その影響を、観光客が直接感じることはないだろうと思います。
ということで、香港の物価高と円安で、金銭的に昔よりも旅がしやすいとは言えませんが、また機会を作って遊びに行きたい! と思いました。