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Photo by
marius_skr8c
ビルの屋上に止まったカラス
ビルの屋上に止まったカラス。
見上げるほどの高いビルの縁で
遠くを眺めている。
僕はそのカラスを見上げながら、
思う。
カラスには空の広さは、
自由に走り回る
夜の道路と同じ場所だ。
高ければ高いほど、
広ければ広いほど、
道路を自由に走り回れる。
右に、左に、上に、下に。
カラスの邪魔をするものは、
この空には何物もいない。
広げた羽は、大きな手のよう。
そして、自由に、泳ぐように、
優雅に空を舞う。
*
ビルの屋上から飛び立つカラスに、
なんの躊躇も感じられない。
地べたを歩く僕は、
歩くことに恐怖は感じない。
ビルを飛び立つカラスは、
飛ぶことに恐怖はないのか。
1つ手順を間違えば、
真っ逆さまに落ちるのに。
足場を蹴り、羽を広げ、風を捉えないと、
空は飛べない。
飛ぶたびに、
彼らは覚悟をしているのだろう。
ビルの屋上に止まったカラス。
飛ぶ前に遠くを眺めているのは、
覚悟を決めているのかもしれない。