エッセイ 秋も衰えて
年を重ねたからだろうか。
元気にできていたことが、
だんだんできなくなってくる。
人生100年というけれど、
半分を過ぎても、あと半分を
元気に過ごす自信はまるでない。
自分の顔を鏡で覗くたびに、
やせ細った顔にある二つの目玉が
不安そうに僕を見つめる。
まっ白な髪は、頭に灰を被ったよう。
痩せた体は、昔買ったジーンズは
大きすぎて、ベルトをしないと
履けない始末。
全く何の準備もできていないし、
そんな矜持なんて持ち合わせない。
オロオロして、ウロウロと歩き回り、
眠れない夜を過ごし、やがて疲れて、
明け方に寝入る。
わずかな時間しか寝てないのに
容赦なく朝は来る。
なぜか痛む右足は、
僕の新しい悩みとして追加される。
*
僕は自分のこころを慰めようと、
陶淵明の詩集を開いた。
1600年前の人である。
四十五歳の作。