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詩 別れの日

春の日差しがやわらかい。

そこは静まりかえった体育館。

だれもいないその席に、

順序よく、
ひとり、また、ひとりと、
座ってく。

窓から差し込む、
やわらかな日差しは、

座る彼らを、
祝福する。

かなでられる歌。

ひとりひとり確認し、
呼ばれる名前。

旅立ちを祝う言葉。

それらを聞きながら、
言葉が言葉をつむぎ、
記憶につながる。

切り取られた
場面、場面が浮かび、
気持ちに触れる。

今、目の前に座る、彼。

僕は、彼と、

ぶつかり合い、
いがみ合い、
すれ違ってばかり。

僕は、彼を、
受け止めてたか。

今、別れのあいさつを
聞きながら、

あふれる涙。

成長した彼に、
教えてもらっていたのは
僕だった。

僕の手を離れ、
手の届かない場所へ
飛び立とうとするツバメを、

僕の都合でカゴに入れたのは、
僕だった。

今日、旅立ちの日。

いつもと同じ一日だけど、

いつもとは違う一日。

彼の明日がどんな日か、

決めるのは、

もう僕じゃない。

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