めったに使わない点字、「中点」編(点字のはなし(49))
これまで、使用頻度が低い点字として、伏せ字記号、位取り記号、アポストロフィ、一部のカッコ記号をご紹介してきました。
今日は、中点(中黒)についてです。
※以下、当センター独自かもしれませんので、使用時にはご注意を。
「・」という記号。
「なかぐろ」という呼び方が一般的かもしれません。
画面読み上げのPCトーカーが「なかてん」と言うので、当センターでは皆さん「なかてん」と言っています。
この記事でも、「なかてん」と書きます。
なかてんは、「インフォームド・コンセント」のように、
意味的にひとまとまりでも、途中で単語が切れる時に使ったり、
「ヘレン・ケラー」のように外国の人名に使ったり、
「月・火・水…」のように、何かを並列に示す時の区切りとして使われています。
点訳する時は、5の点を使って書きます。
「5の点は、濁音の記号なのでは?」と思う方もいらっしゃるでしょう。
なかてんとして使う時は、5の点の直後にひとマスあけて、濁音とは区別します。
上の例で言えば、「げつ」の「け」の前の5の点は濁点ですが、「つ」の後の5の点は、同じ5の点でも、なかてんです。
(濁音は、5の点の直後に、濁点をつけたい文字を書くので、もし5の点の後が空いているなら、それは濁音ではないというわけです。)
とはいえ、点字は少しでも読みやすい方が良いですよね。
5の点を触って、「濁点だな。いや、後ろが1マス空いてるから、濁点じゃないか、なかてんか」と考える…といったロスは避けたいものです。
そこで、原文でなかてんが使われていても、
「げつ か すい」のようになかてんを省略して、
1マス、もしくは前後の文脈によっては2マスあけて区切る、という点訳をする時があります。
注:上の例のように一音の言葉(この場合は、火曜日の意味の「か」)が含まれている時、その前後を2マス空けにすると、とても読みにくくなりますので、1マスあけを推奨します。
また、なかてんは、墨字(普通字)では、見出しにも使いますよね。
・月曜日
・火曜日
のような使い方です。
でも、これを点字でそのまま「なかてん」を使って書くわけにはいきません。
点字におけるなかてんは、あくまでも「文章の途中」に使われる物だからです。
そこで、
※げつよーび
※かよーび
のように、別の記号(この場合は星印)に置き換えたり、
(1)げつよーび
(2)かよーび
のように、かっこを使って数字を振るなど、全く違う表現の仕方に置き換えます。
なかてん…なかぐろは、墨字(普通字)では、何気なく区切りに使ったり、見出しに使ったり、色々な用途に使っているかもしれませんが、
点字の場合は、「あえて、なかてんを使わない」という訳し方、配慮も必要となるのです。
↓原文と違う点訳について、気になる(気にかかる?)方はこちら↓
by くろうーろん
※こちらは過去にssブログ(2018-03-06 13:00)に掲載されていた記事です。再掲にあたり、一部修正致しました。