点字の数字(4)助数詞編(点字のはなし(38))
助数詞とは、「人」「個」など、数字の後につける言葉のことです。
人数については、既に書きました。↓
注:以下、点字の五十音を「仮名」と表現します。
数字等と区別をつけるため、便宜上です。ご承知おきください。
今回は、数字の書き方ではなく、助数詞(じょすうし)について。
数字と合わせて書く時に、ルールがあるからです。
おさらい的に、点字の数字について書いておきます。
・「数符」を使って書く。
・「ひ・ふ・み…」に基づく書き方や、数える概念が無い時は、数符を使わず「仮名」で書く。
日本語では、人数だったら「にん」、物だったら「こ」などを、数字の後に添えます。
記号ではなく、「言葉で表す単位」という感じでしょうか。
これを、助数詞(じょすうし)といいます。
点字で書く時も、基本的には墨字(普通字)と同じですが、
点字ならではの例外があります。
助数詞の最初の一文字目が「あいうえお・らりるれろ」のいずれかで始まる場合、そのまま続けてすぐに書いてはいけないのです。
なぜなら、数字は、
数符+あ=1 数符+い=2 数符+う=3 数符+る=4 数符+ら=5
数符+え=6 数符+れ=7 数符+り=8 数符+お=9 数符+ろ=0
だからです。
数字の後、すぐに続けて「あいうえお・らりるれろ」のいずれかで始まる助数詞を書くと、それも数字として読まれてしまいます。
そこで、助数詞が「あいうえお・らりるれろ」のいずれかで始まる場合は、数字と助数詞の間に、「つなぎ符」という記号を挟みます。
つなぎ符は、その名の通り、何かと何かをつなぐ時に使う記号です。
(数字だけとは限りません。詳しいことは、いずれ機会があれば…。)
「6かい」や「6にん」は数字と助数詞を続けて書き、
「6えん」は、数字の後につなぎ符を使います。
つなぎ符を使わずに続けて書くと、
「66ん(ろくじゅうろくん)」
となってしまうからです。
「これは6円なのか、66円の書き間違いなのか?」
と、読み手が迷ってしまいますよね。
また、いっぴき、にひき、さんびき…のように、発音が変わる助数詞は、その発音通りに書きます。
1なら「ぴき」、2なら「ひき」、3なら「びき」です。
「杯」も同じで、1なら「ぱい」、2なら「はい」、3なら「ばい」です。
数字が「1」の場合、いずれも、声に出せば、1の後につまる音(促音、小さい「っ」のこと)が入りますが、「1っぴき」「1っぱい」とは書かず、「1ぴき」「1ぱい」と書きます。
基本、「助数詞は発音通りに書く」のですが、促音だけは無視します。
…と、ここまでは、点字のルールとして明記、または自明なのですが、以下は記載されていません。
ローカルルールと言って良いと思います。
その1、助数詞が「わ」で始まる場合
「1羽」は鳥やウサギを数える時、「1話」は小説などの区切りです。
記号を仮名で書けば「ワット」もです。いずれも、使用頻度は低いかもしれませんが。
実は、仮名の「わ」は、「位取り」記号と同じです。
ですから、「10わ(羽または話)」を端から順に(指で)読むと、
「1、0、位取り点、…おや、その次に数字が無いという事は、位取り点じゃなくて、『わ』だったのか?」
…と、なってしまいます。
これは読み手に気の毒、非効率的です。
というわけで、読みにくくなること必定ですが、「わ」で始まる助数詞には、つなぎ符を使いましょう。
(または次の「その2」を適用して、1マスあけですかね…それも絶対読みにくいけど。)
その2、会話の中で「つなぎ符」を使いたい場合
例えば、会話の中に金額が出てくるセリフ、
「ねえねえ、100円貸してよ」
…を、点訳したい場合です。
何と。カギカッコとつなぎ符は、同じ記号です。
しかも、「ひらきカギカッコ(会話のはじまり)」と「とじカギカッコ(会話のおわり)」は、どちらも同じ記号です。
つまり、会話の中でつなぎ符を使うと、それが「とじカギカッコ」だと思われてしまう可能性があります。
墨字(普通字)で書くと、
「ねえねえ、100」円貸してよ「
…という感じ。
1つ1つ指で読むので、最後に本物のとじカギカッコがある事がわからないですよね。
そこで、数字と「えん」の間を、ひとマスあけて、
「ねえねえ、[マスあけ]100[マスあけ]えん[マスあけ]かしてよ」
と書きます。
文章が少し細切れになりますが、勘違いは起こりません。
繰り返しますが、上記はローカルルールです。
本来のルールでは、カギカッコのかわりに、別のカッコ記号を使って、記号のバッティングを回避するのが正しいです。
でも現実は…「別のカッコ記号」が厳しい…。
リアルに、
「『丸カッコ』と『かぎカッコ』しか使わない(それ以外知らない)」
という点字使用者、多いんですよねー。
by くろうーろん
※こちらは過去にssブログ(2017-01-31 13:00)に掲載されていた記事です。再掲にあたり、一部修正致しました。