点字の数字(1)ひとつ・ふたつ編(点字のはなし(35))

点字の「下がり数字」や「点字つきカレンダー」の話で、
点字の数字について、簡単に触れてきましたが、
改めて、点字の数字のことを書きます。

点字の数字は、「数符」という記号と、あいうえお・らりるれろ の組み合わせで表現します。
ただし、「あいうえおらりるれろ」の順ではないので、ご注意を。

数符+あ=1 数符+い=2 数符+う=3 数符+る=4 数符+ら=5
数符+え=6 数符+れ=7 数符+り=8 数符+お=9 数符+ろ=0
数符+あろ=10  数符+あろろ=100

<点字の数字(凸面)一覧。五十音順(あいうえおらりるれろ)ではないのがミソ。>

普通に数字を書く時は、上のように書けば良いわけです。
ただし、場合によっては、あえて「点字の数字を使わないで」書きます。
それは、ものを数える時の、ひとつ・ふたつ・みっつ…を書く時です。
また、「ひ・ふ・み…」でなくても、点字の数字を使わない決まりになっている言葉もあります。

順にご紹介していきましょう。

注:以下、点字の五十音を「仮名」と表現します。
  数字等と区別をつけるため、便宜上です。ご承知おきください。

<点字の数字(1) ひとつ・ふたつ編>

数字の1は、「いち」と読みます。
でも、もし1のうしろに「つ」があって、
「1つ」
…と書いてあったら、
皆さん、「いちつ」ではなく、「ひとつ」と読みますよね。
数字の次に「つ」と書いてあるのが見えるからです。

一方、点字は、「1つ」と書くのは、まずいのです。
それは、点字を指で読む場合、一文字ずつ順に読んでいくからです。

まず「1」を触って、
「ああ、数符があって、次が『あ』だから、『いち』だな」
と思います。
ところが、次の文字に触れて、『つ』と書いてあったら、
「おや、『いち』ではなく『ひと』だったのか」
と、なる…

これは、とても非効率的ですよね?

そのため、点字では、あえて数字の「1」を使わず、
はじめから「ひとつ」と仮名で書く事になっています。

<点字では、「1+つ」ではなく「ひとつ」と書きます。>

現在、点字を書く時に数字を使わず仮名で書くのは、
「ひとつ、ふたつ、みっつ、よっつ、いつつ、むっつ、ななつ、やっつ、ここのつ、とお」
と、それに基づいた言葉を書く時です。
ひとりしばい、ふたえまぶた、みつば…など、色々ありますね。

ちなみに、ひ・ふ・み・よ…と数える時も、もちろん仮名で書きます。
現代語ではあまり使わないかもしれませんが。

他にも、ひふみよ…の発音ではないけれど、「点字の数字を使わない決まりになっている言葉」があります。
それは、「漢数字でしか書かない言葉(※)」です。
墨字(普通字)で、「1応(いちおう)」「1般的(いっぱんてき)」などと書かないのと同じく、点字でも、「いちおー」「いっぱんてき」のように、仮名で書きます。
このような言葉はたくさんあるので、ここでは省略します。
(※)一部例外があります。

ついたち、ふつか、みっか…も、上と同じ理屈なのですが、
「日付」と「日数」で、書き方にちょっと違いが出てきます。
これについては、次の記事に書きます。

by くろうーろん

※こちらは過去にssブログ(2017-01-20 13:00)に掲載されていた記事です。再掲にあたり、一部修正致しました。