点字のアルファベット(点字のはなし(40))
点字の数字シリーズ…の途中ですが、
「点字のアルファベットの話」を書きます。
次に掲載予定の「ローマ数字」には、アルファベットの知識が必要だからです。
なぜ数字のためにアルファベットが必要なのか?
それは、後日明らかに…!
なお、ここでご紹介するのは、日本語の文章の中にアルファベット(単語)がある時の書き方です。
例えば、
「明日、PTA(ピーティーエー)の会合があります。」
みたいな場合の書き方です。
全文、日本語が無くアルファベットの場合や、
「彼は『Boys be ambitious』と言った。」のように、日本語の文章の中に『英文』がある場合は、別の書き方をします。
ご注意ください。
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点字のアルファベットは、まず「外字符」という記号を書きます。
1マスの中に、
「5の点と6の点」 ※注
を書くと、
「次のマスからアルファベットです」
という意味です。
そして、外字符の直後に、アルファベットの本体に該当する字を書きます。
数字と同様に、アルファベットが続く時は、最初だけ外字符を付けます。
その他にも、つなぎ符を使う場合など、ルールがいくつかありますが、ここでは省略します。
aからjまでは、数字の本体と同じです。
(というか、ご紹介の順番が逆になっただけで、数字より先にアルファベットが作られたのでしょうけれど)
その先の10個は、aからjまでに、それぞれ「3の点」が追加されて、
a+3の点 = k
b+3の点 = l(エル)
c+3の点 = m
d+3の点 = n
……と続きます。
その先は、更に「6の点」も追加されて、
a+3の点+6の点 = k+6の点 = u
b+3の点+6の点 = l(エル)+6の点 = v
……と続くのですが、
「w」だけ、この流れから外れます。
それは、点字が生まれたフランスには、「w」が無かったから。
点字が英語圏で使われる際に、追加されたのです。
また、アルファベットを書く時、忘れてはいけないのが「大文字・小文字」の別です。
例えば「PTA(ピーティーエー)」を大文字で書きたい場合ですね。
「外字符・ね・と・あ」は、小文字で「pta」と書いた事になるので、大文字にするには、「大文字符」または「二重大文字符」が必要です。
大文字の「PTA」…正解は、「外字符・二重大文字符・ね・と・あ」です。
なお、外字符は、数符と同様、1マスあけると効力が切れます。
「PTAの…」と書く時は、「A」と「の」の間を1マスあけましょう。
続けて書くと、外字符の効力が続き、「PTAの」ではなく「PTAS」となってしまうからです。
さて、ちょっとリアルなお話。
多くの点字使用者は、五十音の書き方から習い始めるので、アルファベットに戸惑う方が多いです。
abcを五十音に当てはめると、「あいうるら…」と、まるで呪文のようになるので、違和感が大きいのだと思います。
よく見かけるのは、
「あいうるら えれりおろ なにぬつた ねてちのと はひそふむま」
という並びを、丸暗記しておくやり方です。
例えば「PTA」と書く時は、指を折りながら、
「A・B・C・D・E……P、Pは16番目」
と確認して、次に、また改めて指を折りながら、
「あ・い・う・る・ら……ね、16番目は『ね』。
だから、『P』は『ね』と書けばいい!」
と割り出すわけです。
確実ですが、とっても大変…。
書く頻度が低いと、「指折り方式」にならざるを得ないかも知れません。
アルファベットは、何度も書いていると、凸面が「いかにもその字の形」に感じられるようになって、面白いのですが。
私が最も「いかにも」に感じるのはエックスです。よく出来ているなーと思います。
私の場合、時間割の点訳をした時、何度も出てくる「HR(ホームルーム)」の「りち」が、「何となく、それっぽい形」に感じられて、そのへんが突破口になり、指を折らなくても書けるようになりました。
……や、すみません、それでも時々指を折って確認します。
その方が確実だから…!
※注
以前書きましたが、「外字符」は句読点の「点」と同じ記号です。
でも、「点」は直後を1マスあける事になっていて、
「外字符」はすぐに次の文字を書くので、区別できます。
by くろうーろん