最近使われるようになった点字(点字のはなし(51))
ここ数回、使用頻度の低い点字をご紹介してきましたが、今回は逆です。
以前より使用頻度が高くなった点字…それは…
「読点(とうてん)」です。
読点とは、文章の途中に書く「テン」の事です。
ちなみに…
文章の最後に書くマルは句点(くてん)、
マルとテンを合わせて「句読点(くとうてん)」です。
どちらも「区切り」として使います。
墨字(普通字)の文章では、句点も読点も、全く珍しくありません。
ところが点字の世界では、読点についてのルールはあっても、実際に使われるのはまれでした。
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以前は、このように書く人はほとんどいませんでした。>
読点が使われなかったのには、理由があります。
点字は元々、スペース(マスあけ)を入れながら書きます。
つまり、かなり頻繁に「区切り」が存在するわけです。
そこに更に「区切り」の記号があると、
かえって読みにくい…という人が多かったので、
原文に読点が使われていても、あえて省略して点訳したり、
アプリで自動点訳した後、わざわざ読点を消す作業をしていました。
ですから、点字ユーザーの中には、読点の使い方どころか、
読点の存在自体を忘れてしまう方もいました。
身近に読点が存在していないのですから、当然です。
しかし、時は流れ…
現在は、点字書籍や印刷物などで、普通に読点が使われています。
(注:手書きの点字で読点を全く使わない方、点訳を読点省略で依頼される方は、今も少なからずいます。)
なぜこのような変化が起こったのでしょうか?
ひとつは、パソコンの普及に伴い、普段から墨字(普通字)を使う点字ユーザーが増えたことです。
読点が含まれた文章をパソコンで読み書きする機会が増えれば、当然ながら、読点の存在が当たり前になります。
実際、
「文章のどこにテン(読点)をつければいい?」
という点字ユーザーからの質問は、全くなくなりました。
もうひとつは、アプリが普及して、点訳にスピードが求められるようになったことです。
昔は、コツコツと手で点訳し、完成まで時間がかかるのが常識でした。
しかし瞬時に点字化できるアプリが普及して、常識が変わり、
読点を消す作業に時間をかけず、すぐに渡すことを優先するようになりました。
点字を取り巻く状況は、ずいぶんと変わりました。
点字自体も、どんどん変わっていくのだと思います。
by くろうーろん
※こちらは過去にssブログ(2018-04-17 13:00)に掲載されていた記事です。再掲にあたり、一部修正致しました。