点字の「下がり数字」(その2)(点字のはなし(17))
「教則本には載っていないけど、みんなやっている書き方」。
今日ご紹介するのは…
「下がり数字」について、その2です。
点字の「下がり」については過去記事をどうぞ。↓
注:下がり数字はいわゆるローカルルールです。
ご紹介するのは、当センターの場合ですのでご注意ください。
「その1」で、下がり数字で時刻を表現することについて書きましたが、
下がり数字は、「ナンバリングの意味をもった分数」にも使われます。
ナンバリングの意味をもった分数というのはどういう事かというと、
例えば、墨字(普通字)では、
「ファックスや書類が全部で5枚あり、この紙は何枚目です」
という意味で、1枚目に1/5、2枚目に2/5…等と書くことがありますよね?
これのことです。
これと同じことを、点字の下がり数字で表現します。
普通の分数とは、またちょっと違う意味あいです。
なぜ、わざわざこのような書き方が必要なのか…というと、
視力がない人にとって、事前に「全部でいくつあるのか」を知っておくことは、とても大切だからです。
では、書き方です。
まず下がり数字で1と書き、元の位置に5と書くと、「全5のうちの、1番目」とみなします。(そういうお約束)
この「1/5=5分の1」は、全部で5巻ある点字本の1巻目かもしれないし、全部で5枚あるCDセットの1枚目かもしれない。
それが書かれている状況や、前後の文脈で判断します。
状況や文脈で判断するのは、墨字と同じですよね。
上の例でいえば、5枚つづりの紙に書いてある「1/5、2/5…」を、1月5日、2月5日…という意味ではないと判断するのと同じです。
そういえば、下がり数字は、日付として使われているのを見かけません。
元々ルール外の書き方ですから、日付に使ってはいけないというルールも無いのですが、使われない理由はわからないです。
さて。
仮に「全5枚の1枚目」を生真面目に点字で書けば、どうなるでしょうか。
こうなります。
書くスペースが確保されているなら、これで良いのですが、
書くスペースが限られていると、そうもいきません。
15マスが3マスになるなら、下がり数字は、点字本の背表紙や、CDのラベル等、狭い場所で使われて当然でしょう。
というわけで、ここまで、分数「的」な書き方をご紹介してきましたが、
分数「そのもの」を書く時は、少し話が違ってきます。
そのことについては、次回、書くことにしましょう。
by くろうーろん
※こちらは過去にssブログ(2015-01-19 13:00)に掲載されていた記事です。再掲にあたり、一部修正致しました。