めったに使わない点字、「カッコ」編(点字のはなし(48))
これまで、使用頻度が低い点字として、伏せ字記号と位取り記号とアポストロフィをご紹介してきました。
今日は一部のカッコについてです。
※以下、当センター独自かもしれませんので、使用時にはご注意を。
墨字(普通字)では、さまざまなカッコ記号を使い分けます。
音声でこの記事をお読みになっている方には分りにくくなって申し訳ありませんが、テキストで書くと、
( )丸カッコ
「 」かぎカッコ
『 』二重かぎカッコ
【 】墨付きカッコ
〔 〕亀甲カッコ
などです。
これ以外にも、様々なカッコの記号を、用途に応じて使っていると思います。
※音声使用でない方への補足
画面を読み上げるアプリでは、上記を、
かっこ、かっことじ、まるかっこ、かぎ、かぎとじ、かぎかっこ、
にじゅうかぎ、にじゅうかぎとじ、にじゅうかぎかっこ…
と読み上げるので、とっても分かりにくくなってしまうのです。
(上記の読みはPCトーカー準拠)
もちろん点字にも、カッコの記号がいくつも用意されています。
点訳ソフト(墨字(普通字)を点字に変換するアプリ)を使えば、
自動的に出てきます。
だからといって、そのまま使っていいものか?
というのも、私は、丸カッコとかぎカッコ以外のカッコを、リアルに見た事がないからです。
日常的に使うのは、丸カッコとかぎカッコくらいで、バリバリの点字使用者でも、その他のカッコの記号を全部しっかり覚えている方は、少ないと思うんです。
しかも、ですね…… なんと、ですね……
実は、カッコは、墨字(普通字)のカッコ記号と一対一対応ではなく、
点字で丸カッコとして使っているのは「第1カッコ」、
かぎカッコとして使っているのは「第1カギ」というのです。
要するに、点字のカッコ記号は、ルール上、その場に応じてどれかを使う、という事になっているわけです。
というわけで、点訳の際には、前後の文脈で差し障りがなければ、
全てを、丸カッコと、かぎカッコに置き換えてしまう事があります。
混乱を防ぐために、あえて、そうしているんですね。
文芸作品(小説など)で、そのカッコに意味がある場合は、そのまま点訳しますが、点訳者の意図通りに理解してもらおうと思えば、点訳者挿入符を使って、
「このカッコは何々のカッコです(何々の意味です)」
という注釈が必要になるでしょう。
↓点訳者挿入符記事へのリンク↓
余談ですが、かぎカッコとつなぎ符は同じ記号なので、
会話の中のつなぎ符を、1マスあけに変更することもあります。
この対応については、教則本に特に記載は無いようですので、ローカルルールですね。
by くろうーろん
※こちらは過去にssブログ(2018-02-22 13:00)に掲載されていた記事です。再掲にあたり、一部修正致しました。