花粉症と陰陽バランスについて
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イ)=インタビュアー
高)=山田高廣
智)=山田智子
夫婦で漢方と鍼の併用治療を実践。中医学の考えに基づき顧客ニーズに個別対応 で応える総合的な治療を提供している。
イ) 陰陽について教えていただきたいのですが、例えば、日本人の多くが苦しんでい る花粉症については、陰陽で言うと何が原因なのでしょうか?
高) 花粉症も陰と陽バランスのくずれなんですよ。
まず発症時期ですね。
寒い時期で はなく春一番が吹いて温かくなってきた時期の発症。
これが一番多いですね。この タイプの人に「冷たいものが好きですよね?」って聞くと,「冷たいのは大好きです」と言って、冬でもアイスコーヒーを飲んでいたりします。
このタイプの人は身体の中に熱をため込んでいるのです。運動して発汗すると楽になるんです。
杉の木も陰気と陽気でできている。陰気というのは根っこの方に多い。
上の葉っぱの方に行くほど陽気が増えてきて、おしべは陽気の塊。
温かい風が陽気を乗せて、熱をため込んでいる人の鼻とか目とかに一気に入り込んで花粉症が発症するのです。だからこのタイプの人には身体の熱を取り除く漢方が有効です。
身体の中に湿気がたまっている人は雨が降ると調子が悪い。
身体の中に冷えがあると冷房に弱い。身体の中に熱がある人は外の熱に敏感。このように身体と外の環境は親和性があるのです。
寒い冬の時期に始まる鼻炎の場合は、温めながら発汗する(温めて汗をかいて表面の冷えを取り除く)葛根湯などが有効です。
このように身体の陰陽の状態を正確 に診断できないと、陰と陽のバランスをとる漢方は使えないということですね。
相当しっかりと陰陽について学ばないと本当の診断はできない。
私もいまでは「治せる」 という実感が持てるようになりましたが、過去の治せなかった頃のカルテが山のよ うにあるのです。その一つ一つのカルテを見直して、なぜ治せなかったのだろう? と長い間研鑽を積んできました。生半可な気持ちではなかなか到達できないです。
先日も漢方薬局を転々とされている患者さんが、病気が治らないと いって当店に来られたのですが、その方は『実証』でした。実証は、栄養が有り余って過剰になっている状態です。しかし、どこに行っても不足を補う投薬をされていたためいつまでも治らなかったのです。実証の場合は、有り余った物を取り除くこと、流れを良くすることが大切なのに、その方は『虚証』だと診断されて長い間回復されなかったのです。このように、苦しんでおられる例が多々みうけられます。