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発酵に関わる微生物 -発酵の基本知識-⑨
発酵に関わる微生物
ルイ・パスツールにより、発酵には微生物の作用が大きく関与することがわかりました。
その後、さまざまな発酵に関わる微生物が明らかになっていきます。
その発酵に関わる微生物はさまざまな種類が存在しますが大きくわけて三つに分類されます。
発酵に関わる三大微生物
細菌(バクテリア)
主に乳酸菌、酢酸菌、納豆菌、酪酸菌など。
乳酸菌には正式に種類として認められているもので約250種あるといわれている。
大きさは三つの中で一番小さい。
細胞分裂で増殖。分裂速度が非常に早く、形は球菌や桿(かん)菌、らせん状など形は様々。酵母菌(イースト)
主にパン、ビール、日本酒、味噌、醬油の酵母。それぞれに種類がある。
大きさは三つの中で2番目。
出芽酵母、分裂酵母など酵母の増殖時の形の違いによって主に2種類に分けられる。
レモン型、ソーセージ型、卵型などの形があり、様々。カビ
日本に古来から伝わる伝統発酵食品に大きく関わる代表的な菌類。
麹菌、鰹節カビ、ブルーチーズの青カビ、クモノスカビなど
麹菌にも多数の種類がある。野生のものは毒性の強いものが存在するが、発酵食品に使われる麹菌は無毒であり安全が確立されている。
大きさは三つの中で最も大きく、胞子が発芽して菌糸を伸ばし枝分かれした先端に胞子を作り、その胞子が飛んでまた発芽することを繰り返し、コロニー状に増殖する。
空気がとても好きで空気のある場所を好む。
発酵食品に関わる様々な微生物
発酵食品には1つの食品に1つの菌とは限らず、複数の微生物が関係していることが多くみられます。また、同じ菌が関与していても、食材によって出来上がる発酵食品が異なります。
醤油 乳酸菌、醤油酵母、醤油麹菌
味噌 乳酸菌、味噌酵母、黄麹菌
日本酒 (乳酸菌)、清酒酵母、黄麹菌
焼酎 焼酎酵母、黒麹菌
酢 乳酸菌、醸造用酵母
納豆 納豆菌
鰹節 カツオブシカビ
パン パン酵母
ビール ビール酵母
ワイン ワイン酵母
ぬか漬け 乳酸菌、酪酸菌、産膜酵母
キムチ 乳酸菌
ヨーグルト 乳酸菌
チーズ 乳酸菌
ブルーチーズ 乳酸菌、青カビ
同じ分類の菌でも発酵食品ごとに菌が異なります。
たとえば、同じ乳酸菌でも漬物用の乳酸菌とヨーグルトの乳酸菌では大きく異なり、同じ菌ではありません。
麹菌は日本酒用の麹菌、焼酎用の麹菌、味噌や醤油などの麹菌は菌の種類が異なりますし、
酵母菌であれば、パン用の酵母、ワイン用の酵母、ビール用の酵母、味噌、醤油の酵母菌はそれぞれが異なります。
このように作りたい発酵食品によって菌を使い分けます。
また、ヨーグルトなどの乳酸菌、納豆の納豆菌をはじめとした企業開発された製品に使用される菌は、機能性を持った菌など、その企業が商品用に研究開発されたものを使用しており、他社との差別化が図られたものも多く存在します。
パンなどは商品用に開発された既成のパン酵母を使用する場合と、近年では野生酵母を培養した自家製天然酵母を扱う店舗などもあり、多種多少にわたっています。
空気中には無数の菌が浮遊しています。手作りの発酵食品の場合、その環境に適した菌が食材に自然とつき、発酵していきます。
味噌や漬物などを自家製で作る殆どの場合はこの方法で作られますが、企業の製品の場合は商品ごとに菌が添加されて製造されることもあります。