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醤油の調理効果 -発酵の基本知識-㉚
醤油の調理効果
醤油は調理するうえで、下ごしらえやメインとなる味付け、風味漬けなどあらゆる面で食材の美味しさを彩る重要な役割を果たしていますが、主に以下の調理効果があります。
消臭効果
魚や肉の臭み消しの役割を持っています。刺身などの魚の生臭みの素となる「トリメチルアミン」という物質を抑え、うま味を引き出します。
日本料理の下ごしらえである「醤油洗い」はこの効果を利用しています。
加熱効果
加熱によって、食欲をそそる芳香と照りが生まれます。蒲焼や焼き鳥、おせんべいの香ばしい香りは醤油のアミノ酸と砂糖やみりんなどの糖分が加熱によりメイラード反応を起こし、メラノイジンという香気成分が生じるためです。
メイラード反応は、食材を美味しく見せる照り、シズル感を出す働きもあり、よりいっそう美味しそうに見せてくれる役割があります。殺菌効果
醤油に含まれるアルコール成分や塩分、有機酸などが大腸菌やO-157菌などの食中毒菌の増殖を防ぎ、死滅させます。
醤油漬けや佃煮などはこれらの効果を利用して保存性を高めています。塩味の抑制
香味成分や乳酸菌が塩辛さを抑えます。漬かりすぎた漬物や塩鮭などの塩辛いものに醤油をほんの少量たらすと、逆に塩味が抑制されることがあります。
これは、醤油に含まれる有機酸に塩味を抑える効果があり、このことを抑制効果と呼んでいます。旨味の相乗効果
醤油にはアミノ酸の一種であるグルタミン酸が含まれています。
グルタミン酸には、同じくアミノ酸の一種であるイノシン酸を組み合わせることで、うまみを感じる力が格段に増加します。
このことを「うまみの相乗効果」と呼んでいます。
イノシン酸は鰹節などに含まれ、醤油と組み合わせることで、深い味わいと香り成分が一層引き立ちます。そばつゆや天つゆなど和食などにも古くから使われています。対比効果
甘い煮豆などに少量の醤油を加えることにより、一方の味が強く、もう一方の味が弱い場合に、甘みなどの強い方の味わいが一層引き立つ効果の事を対比効果といいます。
たとえば、スイカに塩を振ったり、アイスクリームに醤油を少量たらすとより甘みが引き立つこともこの対比効果の一例です。
醤油の賞味期限
醤油は腐ることはありませんが、酸化は進みます。月日とともに、苦みやえぐみが出てしまい、風味は落ちてしまいます。記載の賞味期限内に使用するようにしましょう。
保管場所
開封前は直射日光の当たらない冷暗所に保管し、開戦後は冷蔵庫へ保管しましょう。
選ぶポイント
ガラス瓶入りのタイプは酸素を通す事がないので、開栓前は1年たっても変化はありません。
ペットボトル入りのタイプは、酸素を通します。そのため未開栓であっても酸化は進むため、なるべく早めに使用するのが望ましいでしょう。
同じペットボトルのタイプでも近年発売されている酸素を通さない密閉ボトルのタイプですと、酸素を通さないように開発されていますので、常温での保管が可能です。
使いきれない場合の再利用方法
米麹を混ぜて醤油麹として、塩麹同様調味料として使いましょう。
良く洗い、水気を切ったニンニクを丸ごと醤油に漬ければ、ニンニク醤油になります。
炒めものやチャーハンなど香気成分を出したい料理に利用でき、美味しく頂くことができます。
※この場合の醤油麹は調味料としての醬油麹であり、仕込みの際に使用される醬油麹とは異なるものです。