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醤油の種類 -発酵の基本知識-㉗
醤油は製法・原料などにより分類されている
醤油は「JAS規格」(日本農林規格)によって原料、製造方法により、以下の5つに分類されています。
醤油の種類
濃口醤油
原料と製造方法:醤油麹に塩水を仕込み、半年から1年にわたり発酵、熟成させます。
生産地:日本全国各地で生産され、市場の80%を占めています。主に千葉県の野田や銚子、香川県の小豆島などが有名な産地です。
特徴:香りが高くまろやか。比較的どの食材とも相性がよい。
用途:普段使いにどの料理にも広く使われます。
塩分濃度:16~17%
淡口醤油
原料と製造方法:大豆と麦が同量で、醬油麹に塩水を仕込み、半年から1年にわたり発酵、熟成させます。
濃口醤油と原料と製造方法とほぼ同じですが、メイラード反応を抑え、見た目などを変えるために仕込み水を多くして色を薄くしたり、醸造の際のもろみの温度を濃口よりも低く設定していたり、熟成期間を短くしたりしています。
生産地:関西地方を中心に生産されています。市場の約14%を占めています。
特徴:色も香りも抑えめ。淡口の字から薄味を連想させますが、塩分濃度は高め。
用途:うどんつゆ、炊き合わせ、含め煮や炊き込みご飯など関西系料理の特徴である薄い色の料理に使われます。
塩分濃度:17~19%
たまり醤油
原料と製造方法:主原料は大豆で、含まれる小麦はごくわずかで、蒸し麹で約1年間熟成させます。
生産地:愛知県、三重県、岐阜県など東海地方を中心に生産されています。全体の生産量の1.8%を占めています。
特徴:トロリとしたコクのある濃厚な味わい。デンプン質が少なく、反面タンパク質量が多くうま味が強いのも特徴です。
用途:「さしみたまり」といわれるようにつけ醤油に使われることも多く、刺身醤油、つけだれ、照り焼きやせんべいなどにも適しています。
塩分濃度:15~17%
再仕込み醤油
原料と製造方法:醸造後の生揚げ醤油を塩水の代わりにして、再度醤油を仕込む方法です。別名「甘露醤油」ともいわれます。
生産地:全体の生産量の0.4%で、主に山陰地方と九州の一部で生産されています。
特徴:味、色、香りともに濃厚でさしみなどとよく合います。
用途:つけ、かけ両方に適しています。
塩分濃度:14~16%
白醤油
原料と製造方法:ほぼ小麦中心で作られた麹を使用します。浸漬時間が長く、原料を煮ることでタンパク質が除かれ、糖分が多くなります。香りが独特で低温・短期発酵は淡口以上に抑えて作られます。
生産地:全体の生産量の0.6%で、主に愛知県で生産されます。
特徴:淡口醤油よりもさらに色が薄く甘みが強いのが特徴です。一般的に加熱処理されていないものが多く見られます。
用途:茶碗蒸しや吸い物など、淡口醤油よりもさらに色の薄い料理に仕上げたい時に使われます。原料はほぼ麦のため糖分が多く含まれ甘みが強めです。
塩分濃度:17~18%
3つの醸造方法
醤油には3つの醸造方法があります。
本醸造
江戸時代から続くシンプルな製造方法。大豆、小麦、食塩が原材料となっています。
混合醸造
もろみにアミノ酸液を添加し、その後醸造して馴染ませます。
混合
搾った醤油にアミノ酸液を添加する方法です。
混合醸造、混合は戦時中の食糧難の時代に作られ、現在もその名残りで生産されています。地域の食文化などにも根強く、九州や北陸、東北の甘みが強い醤油はこれらの混合醸造もしくは混合の方法で作られたものが多くみられます。