甘酒の効果 -発酵の基本知識-㊷
甘酒はその栄養成分が点滴と同じことから「飲む点滴」と呼ばれています。また、美容効果成分も豊富に含まれることから「飲む美容液」とも呼ばれています。
点滴よりも体に負担がなく、飲むだけで栄養補給ができ、美容効果も期待できます。
甘酒の主な栄養素
必須アミノ酸
アミノ酸はタンパク質の一種で細胞内の重要物質である、タンパク質やホルモンなどを形成します。人の体は常に細胞分裂が繰り返されることで組織が形成されており、その細胞の成分がアミノ酸です。
アミノ酸には20種類あり、ヒトが体内で生成できる非必須アミノ酸と、体内で生成することができない必須アミノ酸があります。
非必須アミノ酸は11種類、必須アミノ酸は9種類あり、甘酒には全ての必須アミノ酸が含まれています。
必須アミノ酸には疲労回復や成長促進、美肌効果があり、細胞分裂の促進を促す働きをもっています。
ビタミンB群
ビタミンB1、B2、B6、B12、ビタミンB群の一種であるナイアシン、イノシトール、ビオチン、葉酸が含まれます。
ビタミンB群は免疫力を向上させる成分で、体内酵素の働きを補い、糖質の代謝を促します。
また、新陳代謝を高めて体の調子を整えます。
ブドウ糖
麹菌が生成するアミラーゼ酵素が米のデンプンを分解し、ブドウ糖を生成します。
脳の唯一のエネルギー源であるブドウ糖は、脳の活性化や疲労回復に重要な役割を果たします。また、血中のヘモグロビンによって運ばれた酸素と反応して酸化され、エネルギーを生成します。
脂肪は燃焼されて運動エネルギーになりますが、神経細胞はエネルギー源を蓄えておくことができません。脳などのエネルギー源になるのは血液から取り込むブドウ糖だけで、摂取することで集中力や記憶力を高める効果があります。
甘酒を作る際の麹の糖化発酵は、デンプンのほぼ全量がブドウ糖に変化します。
ブドウ糖はそのほかに満腹中枢を刺激する効果があり、少量の甘酒でも満足感が得られますので、甘いものを控えたいダイエット中には高い効果が望めます。
甘酒に含まれる酵素
アミラーゼ デンプンをブドウ糖に分解
プロテアーゼ タンパク質をアミノ酸に分解
リパーゼ 脂肪と脂肪酸をグリセリンに分解
ペクチナーゼ ペクチンを分解
タンナーゼ タンニンを分解
セルラーゼ セルロースをオリゴ糖に分解
その他100種類以上の酵素が含まれています。
甘酒の調理効果
豊富な栄養成分のほか、甘酒成分の20%以上がブドウ糖類であることから、砂糖の代用として使用することができます。
砂糖よりも栄養効果が高く、体への負担が少ないことから、料理や製菓などの応用に適しています。
酵素の生成する成分を生かしたまま料理へ応用することがより効果が高く、そのためには、加熱しない状態で利用することが有効となります。
甘酒の利用方法
そのまま食べる
体調がすぐれない時や胃腸の調子が芳しくない時、甘い物を控えている時などは、そのまま食べることで消化がよく、胃腸をはじめとした体への負担が少なくなります。
飲み物として
牛乳や豆乳と混ぜてドリンクにすることで、効率よく栄養を吸収することができます。
高齢者や幼児などの栄養補給にも有効で、朝食などで摂取すると血糖値の上昇とともに脳への活性化が高まります。漬床への利用
漬け床として利用することで、野菜などの常在菌である乳酸菌のエサとなり、ブドウ糖の甘みを抑えながら分解スピードが速くなる利点があります。
肉や魚、味噌や醤油などと合わせて漬け床にすると、タンパク質がアミノ酸へ分解されうまみ成分が増加します。