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醤油の製造方法 -発酵の基本知識-㉙

濃口醤油の製造方法

水で浸漬した後、蒸した大豆(蒸煮大豆)と炒って砕いた大豆(炒煎、割砕)を1:1の同量混合し、醤油用の種麹を培養し、「種麹」を作ります。

これを食塩水と共に仕込み発酵させ、「もろみ(醤油もろみ)」にさせ、約半年から8か月間、撹拌をしながら熟成発酵させます。

麹菌の酵素による分解、乳酸菌や酵母の働きにより、その間発酵が進みさらに熟成されます。

夏を超える頃になるとメイラード反応により醤油特有の褐色の色になり、香りと味が深まります。

塩分濃度は16~17%


淡口醤油の製造方法

基本的な製法は濃口醤油とほぼ同様で、製品の色を薄くするために大豆を蒸す際に圧力をかけることをせず、小麦も浅炒りにし、食塩水の量を増やすなどの原料の分量による調整を行います。また、圧搾前に、味をまろやかにするためや甘みを加えるために、米を糖化発酵させた「麹の甘酒」で薄める場合もあります。

淡口醤油の塩分は濃口醤油よりも2~3%高い17~19%です。

色を薄い状態に保ちたいことから、メイラード反応による着色を極力抑えるために、撹拌は最小限に行います。また、もろみの発酵や熟成期間を三カ月程で抑えることでさらに着色を抑えます。

塩分濃度は17~19%


たまり醤油の製造方法

主原料はほぼ大豆が占め、ごくわずかな小麦を混ぜます。

その比率は、大豆が9割で麦が1割程となります。

原料を蒸し、細かく刻み、粒状に形成したものに醤油の麹菌をつけ、「味噌玉麹」にし、食塩水で仕込みます。

仕込み樽の底にたまった液を汲み掛けながら、約1年間発酵、熟成させます。

もろみから自然に分離されるものを「生引きたまり」、後に残ったたまり味噌を搾ったものを「圧搾たまり」と呼んでいます。

塩分濃度は15~17%


再仕込み醤油の製造方法

通常の醤油は仕込みの際に食塩水を使用しますが、再仕込み醤油は、食塩水の代わりに生揚(きあ)げ醤油を使用します。生揚げ醤油で再度仕込むことから「再仕込」と呼ばれます。

醤油を生揚げ醤油で仕込むために、塩水で仕込む濃口醤油よりもやや塩分濃度が低く仕上げる事ができます。

塩分濃度は14~16%


白醤油の製造方法

白醤油は他の醤油とは違い、主原料は小麦です。大豆はごくわずかに使われ、その比率は大豆が1割で麦が9割と、たまり醤油と真逆の比率となります。

炒った大豆の皮を剥き、小麦も脱皮、精白して使用されます。熟成期間も3カ月と短く、低温で発酵させることで、メイラード反応を抑え、べっ甲飴のような琥珀色の醤油になります。

塩分濃度は17~18%


メイラード反応とは

醤油、味噌などで見られる現象で、発酵・熟成の過程でもろみの中に含まれるアミノ酸と糖が科学反応を起こし、赤みの強い褐色へと変化します。

これをメイラード反応といいます。

メイラード反応はわたしたちの食生活に身近に存在し、肉を焼いた時にこんがりと焼けるさまや、玉ねぎを炒めた「飴色玉ねぎ」、コーヒー豆の焙煎、黒ビールやチョコレートの色素、パン(トースト)やご飯のお焦げなどもメイラード反応によるものです。

メイラード反応を起こす際に生まれる褐色色素はメラノイジンという物質で、近年、その健康効果が注目されています。

例)抗酸化作用、糖尿病の予防、コレステロール値上昇の抑制、血流改善、便秘解消予防など

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