みりん -発酵の基本知識-(51)
みりんは漢字で「味醂」と書きます。現在みりんには、3つに分類され、使用目的などによって用途が分かれています。
本みりん
原料:もち米、米麹、本格焼酎(またはアルコール)
製法:糖化熟成 (糖分45%以上)
分類:アルコール(11~14%)
みりん風調味料
原料:糖類、米、米麹、酸味料、調味料など
製法:ブレンドなど
分類:食品
発酵調味料
原料:米、米麹、糖類、アルコール、食塩など
製法:発酵、加塩、ブレンドなど
分類:食品(ただし、アルコール含有量約14%)
本みりんはアルコールを14%ほど含みますので酒類に分類されます。
みりん風調味料はみりんの代用調味料で、アルコールは含まず製法も全く異なり、調理効果も本みりんと同じ効果を得ることができないことから、別の調味料として用います。
価格も安価で手軽にみりんのような風味を得ることができることから「みりん風調味料」として利用されています。
「発酵調味料」は別名「料理酒」ともいわれ、アルコール分は含むものの、不可飲処置として5%~10%の塩分濃度に加塩されていることから、酒税法外の扱いとなっています。
この項目ではみりんが主体ですので、みりん風調味料や発酵調味料は除き、みりんのみに特化して記述をしていくこととします。
本みりんは戦国時代から伝わる日本の伝統調味料
本みりんの起源は諸説ありますが、戦国時代から伝わっていることがわかっています。
当時より甘い飲用の酒として、女性や下戸(お酒の飲めない人)に利用されてきました。調味料として使われ始めたのは江戸後期ですが、一般家庭の台所に普及するのはもっとずっと後のことになります。
主に外食用の鰻のたれや、そばつゆなどに使われていました。
本みりんの成分
本みりんは、麹菌の酵素が生成する糖分(ブドウ糖、オリゴ糖など)や、アミノ酸(グルタミン酸、チロシン、ロイシンなど)が主成分で、そのほかに乳酸や、クエン酸などの有機酸が微量ながらも含まれています。
本みりんの調理効果
本みりんにはブドウ糖やオリゴ糖など、麹の酵素が生成する天然の甘み成分が含まれており、砂糖とは違ったいくつかの調理効果が特徴となっています。
これは、9種類以上の糖と、18種類の天然のアミノ酸、有機酸や香り成分が生成する調理効果です。
上品な甘みをつける
9種類以上の糖で構成させた甘みは砂糖では生み出すことの出来ない上品な甘さに仕上げます。
てりやツヤをつける
加熱することで光沢が出る糖と旨味成分が結合し科学反応により、てりやツヤを出します。素材の風味を良くする
アルコールが含まれているため、加熱をすることにより、魚などの生臭みを消す効果があります。煮崩れを防ぐ
アルコールと糖の作用で煮崩れを防止します。味をしみこみやすくする
アルコールの働きにより、アミノ酸や糖などの成分が食材に早く浸透させる効果があります。コク・うまみをつける
糖やアミノ酸、ペプチドなどのうまみ成分と有機酸が働き合い、深いコクとうま味が生み出されます。塩や酢かどを取り去り、味をまろやかにします。
酢の物や酢飯などの酢かどを抑え、味をまとめる役割を果たします。
砂糖を使用する料理に、砂糖の代用として本みりんを用いることで、さまざまな調理効果を得ることができます。
そのほかに本みりんには、抗酸化作用が高く、血圧を正常に保つ働きがあり、老化予防や免疫力低下予防に役立ちます。
これらのことから、調理に本みりんを積極的に用いることで、砂糖とは違った健康効果を得ることができます。
アルコール分を飛ばすことで、砂糖の代用甘味料として使用することができます。
本みりんを鍋に入れ、火にかけ、アルコール臭がなくなるまで2/3から1/2量まで煮詰めます。このアルコールを飛ばした本みりんのことを「煮切りみりん」といい、上品な味わいの甘味料として利用できます。
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