【読書感想文】トランジション 人生の転機を活かすために
こんにちは、はけたです。
最近は、人に勧められた本をできるだけ読むようにしているのですが、そんな中で読んだ一冊、ウィリアム・ブリッジズの『トランジション 人生の転機を活かすために』の感想を書いていきたいと思います。
本の内容
感想を書く前にまずは本の内容をまとめておきます。
トランジションとは
トランジションとは人生の転機を意味します。
「変化」との違いを理解することで、トランジションという概念がより明確になると思います。
変化:引っ越しや転職など、状況が変わること
トランジション:内面の際方向づけや自分自身の再定義といった心理的な変化のこと。
つまり、単に引っ越しをするだけでは、トランジションとは言えません。引っ越して生活環境が変わったことで、価値観が変わるなど内面に変化が起これば、それをトランジションと言います。
ブリッジズによると人生はトランジションを繰り返しながら進んでいくそうです。
トランジションの3段階
トランジションには3段階のプロセスがあります。
何かの終わり
混乱や苦悩のとき=ニュートラルゾーン
何かの始まり
この3段階を通して、人は心理的な変化を経験し、成長していきます。
何かの終わり
何かの終わりは、何かを手放すときだと言います。実際にどのようなことが起こるかというと、次の5つのどれか、またはいくつかが経験されることが多いようです。
離脱
解体
アイデンティティの喪失
覚醒
方向感覚の喪失
ニュートラルゾーン
ニュートラルゾーンで、変化の方向性を発見することで、新たな始まりに移ることができます。
この時期で大切なことは、ニュートラルゾーンを避けて進まないようにすることです。トランジションにおける重要な変化はニュートラルゾーンで起こることが多いです。そこできちんと向き合わないと、単なる「変化」を経験しただけとなってしまいます。
ブリッジズはニュートラルゾーンで意味を見いだすためのヒントを7つ挙げています。
ニュートラルゾーンで過ごす時間の必要性を認める
一人になれる特定の時間と場所を確保する
ニュートラルゾーンの体験を記録する
自叙伝を書くために、ひと休みする
この機会に、本当にしたいことを見いだす
もし今死んだら、心残りは何かを考える
数日間、あなたなりの通過儀礼を体験する
この7つを意識することで、ニュートラルゾーンで意味を見いだすことができる可能性が上がるでしょう。
何かの始まり
何かの始まりでは、内的、外的な抵抗を伴うことがあります。
今までやってきたこととは違うこと・違うやり方で行動するのですから、当然、自分自身や周囲の人からの反発が予想されます。
しかしニュートラルゾーンを経て、変化が起きている人にとって、後戻りすることは難しいので、新たな始まりを自然な流れとして受け入れることが求められます。
何かの始まりをやり遂げるためには、3つのことを意識すると良いとブリッジズは言っています。
準備なしで行動する
結果を確認する
目標だけでなくプロセスも意識する
何かの始まりは、準備ができたときに自然に起こるものです。しかしトランジションにおける始まりの準備は、意識して整うものではないようです。
そのため、まずは準備なしで行動してみることが、大切になります。その結果を確認しながら、始まりを模索していくのです。
ただし、ブリッジズはこの時の注意として結果ばかりに目を向けるのではなく、プロセスを意識することを指摘しています。何かを始める際には、結果が気になってしまいますが、結果を優先するのではなく、プロセスに向き合うことで、心理的な変化を遂げることにつながります。
感想
読み終えた直後の気持ち
「自分はトランジションにいるかもしれない」
ページを読み進めるにつれて、このような気持ちが大きくなっていきました。
私は、3月に大学を卒業し、大学院のスタートを10月に控えています。卒業をした時から、このギャップ期間を変化の時期だと何となく考えていました。
しかし最近は、単なる環境の変化だけでなく、自分の考え方が大きく変わりつつあるように感じています。
そんなタイミングでこの本を読むことができたのは、運命かもしれないと思うくらいでした。
自分自身がトランジションにいるかもしれないと感じながら読んだわけですが、読み終えた今の気持ちは、意外にもモヤモヤが大きくなりました。
ブリッジズが述べているように、トランジションには苦痛が伴うと思います。
私は今、自分の将来への期待と不安、やりたいこととやらなければならないことの狭間で揺れています。ちょっとした躁鬱のような感じで、気持ちの浮き沈みが大きく、進む道が定まらないストレスも感じています。
そんな私は、このふわふわした状態から抜け出す鍵を求めていました。
しかしこの本には、トランジションを上手くやり遂げる鍵は書かれていません。繰り返し書かれているのは、トランジションに向き合う必要性です。
これが私のモヤモヤの理由だと思います。私は答えを求めていたのに、最後まで答えが与えられなかったのです。
今の気持ち
不思議なことに、今は読み終えた直後のモヤモヤが落ち着いています。
noteを書こうと思って、考えたことを言葉にしていたら、自分の考えやブリッジズが言っていることが、より鮮明に理解できてきたからだと思います。
先ほど書いたように、私はどこかで答えを探しながら、この本を読んでいました。しかしブリッジズは繰り返し、トランジションに向き合う大切さを説明しています。
ブリッジズの主張を頭では理解しているつもりでしたが、どうやら私の感情はそうではなかったようです。理性と感情のギャップが、感想を言葉にしていくにつれて、無くなってきたのだと思います。
ここで、ブリッジズのヒントを思い出しました。
『ニュートラルゾーンの体験を記録する』
感想を書くことで、まさにこのヒントを実践していたのです。結果、トランジションを早く終えたいという焦りが消えてきました。
今は、落ち着いてトランジションを受け入れられる気持ちが整ったと思います。
おわりに
たぶんトランジションの最中にいる私にとって、この本を今読むことができたのは、やはり運命だったように感じます。
私には、早く自分の次の道を定めなきゃ、そこに向かって動き出さなきゃ、という焦りがありました。それがストレスとなっていました。
しかしトランジションに向き合う必要性を認識できたことで、もう少し前向きに、自分のペースで次の始まりに向かって進めるような気がします。
今回は読み終えた後に感じたことを書くことで、本の内容を深く理解できました。やはり言葉にするのは大切だなあと改めて感じます。
実は、本を勧めてくれたのも、noteを紹介してくれたのも同じ方なので、その方には本当に感謝しています。
人との出会いはもちろん、本や考え方など、自分に回ってくるものを、できる限り無駄にせず、生きていきたいと思いました。
おすすめの本がありましたら、コメントしていただけますと嬉しいです。
ここまで読んで頂きありがとうございました。